「やりたいと思うことを仕事にしなさい」
その言葉が、私の今の就職先を決める言葉となった。
就職活動で自分の思い通りにいかず悩んでいたとき、ふと行った会社説明会で会長が言っていた。
正直自分が何がやりたいのかはいまいちわからない、でもこの会社で働いたら何か変わるかもしれない。自分が得意なことを活かせる職場だとは思わなかったが、苦手な部分を底上げできるんじゃないだろうか。なぜだかそんなふうに思った。そうして私はこの職場への就職を決めた。
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社会人1年目。自分にとっての『普通』を押し付ける先輩がいて、出勤するのが辛かった。「もう来なくていいよ」なんてことも言われた。
本当にやめてやろうかなとも思ったけど、変に負けず嫌いな私は毎日行った。当時は自分を守るために自分を正当化することに一所懸命だった。
社会人2年目。苦手だった先輩は転職をした。だいぶ楽になったけれど、自分の詰めの甘さに毎日のように腹が立った。同期で活躍をする人の情報を耳にするたび、「やっぱり私には向いていないんじゃないか」と思った。転職も視野に入れて行動してみるも、ご縁がなかった。
社会人3年目。徐々に自分の裁量でできることも多くなった。仕事が楽しいと感じる場面も多くある。だけどなんとなく、私はこのままでいいんだろうか?と思う瞬間がたくさん。同期も3分の1が退職をして、なんだか取り残されている気分にもなった。
そして社会人5年目の今。「今年昇進できなかったら転職をしよう」と決めた。そうしたら何かが吹っ切れたのか、今までやりたくなかったことにも挑戦できるようになった。
あらゆる取り組みが評価され、「来春には昇進させたいと思っている」と言われた。ようやく自分の仕事が評価されてきて嬉しく思った。
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思い返してみても、「なぜ自分は辞めなかったのか」不思議に思うことがある。だけど、その時々で「こんなふうに人に接することができたら素敵だな」と思える人が近くにいたからだと思う(就職前に京都の鈴虫寺で「自分にあった職場に行けますように」とお願いしていたから、踏ん張ってみるべきかもと思ったのも理由の一つだ)。
一生懸命働いていると、人間的に一皮剥けたかもと感じる瞬間がある。それが楽しい。
もし一生懸命働くことに疲れてしまったら、「自分を養えているのは働いているから」「たまにはブランド物も買って自分自身を励まそう」などと、自分に言い聞かせながら踏ん張っている。一生懸命働いて手に入れた休みは何にも代え難い幸せがある。数日休みが続くと具合が悪くなるのは、意外と私がワーカホリックな証拠なのかもしれない。
正直、「やりたいことを仕事にできているか」は定かではない。だけど、やりがいを持って仕事に取り組めているのは確かだ。そう思える限り、私はきっとここで成長できる。
仕事で自分をアップデートしつつ、自分のプライベートを充実させる。これが私の働く理由、なのかもしれない。