年始に立てた目標って、だいたい3月くらいには忘れられてると思う。
「ダイエット」はお正月のごちそうの前に敗れ、「貯金」は初売りでひもが緩み、「彼氏を作る!」はそもそも良い人がいない……。
私自身が今までずっとそうだったし、年始の気持ちを忘れずに努力を続ける人を尊敬している。
でも来年の私は絶対に後者になってみせる。
そうでなくては困ることになったからだ。
簡単だけど忘れがちでおろそかになってしまうこと。
私の来年の目標は「生きること」。
◎ ◎
突然ですが、2つ質問です。
一つ目は「双極性障害Ⅱ型(混合性)」という病名を聞いたことがあるか。
某女性ボーカルグループの一人がこの病気を発表したことで一時知名度が高まったが、簡単に言ってしまえば「気持ちの問題」、難しく言うと「感情のコントロールができなくなる障害」。
気分が落ち込むうつ状態と、とにかく楽しいそう状態を繰り返す脳の障害とされている。
そして厄介なのが混合性という特徴。
例えば友達と楽しくお茶をした後、ホームで電車を待っている際に「今日は久しぶりに会えて楽しかったな~!……死にたい」とハイテンションから急に気持ちが落ち込むことが多く、買い物でもご飯でも楽しい経験の後が危険だった。
発症して4年、今はようやく薬をやめ自分で症状をコントロールできるようになった。
薬を飲み続ける選択もできた。
でもそれをしなかったのは、どうしても叶えたい夢があったから。
2つ目の質問は「産後の女性の死亡理由で一番多いものを知っているかどうか」。
少し古い情報になってしまうが、2018年の厚生労働省研究班の発表によると、正解は「自殺」だった。
つわりに耐え、体調の変化に耐え、陣痛に耐え、ようやく我が子と会えたのに、ホルモンの乱れや睡眠不足、家族の不理解・非協力により自らの命を絶ってしまう。
この事実を知った時、「私、これやるな」と感じた。
言葉の通じない赤ちゃんと二人、転勤先で簡単に親に頼れない、社宅に友達もいない。
ベランダに出れば、そこは11階。
健康なお母さんでさえ自分を追い込んでしまうのに、障害がある私に子育てができるのか。
不妊治療の末、待望の妊娠ができたのに、妊娠初期の私は不安でいっぱいだった。
それでもうつ状態にならなかったのは、ようやく守りたいものができたから。
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今まで当たり前すぎてなんとなく毎日を過ごしていたけど、「生きる」って本当に難しいし有り難いことだと思う。
お腹の我が子を初めてエコーで見た時、何があっても幸せにしたいと思った。
胎動を感じる度「お母さん、お母さん」と呼ばれている気がした。
持病のある私と結婚してくれて、子供を授けてくれた夫を大切にしたくなった。
育休を取ってくれるという提案に、彼の愛情を感じた。
誕生日は自分が生まれた日ではなく、母が辛い思いをして私を生んでくれた日になった。
来年還暦を迎える父に、恩返しをしようと決めた。
医療が発達した今でも命がけといわれる出産を控えた今、私はどうしても2023年という年を迎えたい。
かつては「終わらせたい」と思っていたけど、今はただ夫と赤ちゃんと3人で新しい人生を歩みたい。
もはや家族3人で、穏やかに生きているだけでいいとさえ感じられる。
来年は未知の年になる。
不安で、心配だけど、それでも何としても生きようと思う。
2023年の目標は「生きること」。
欲を言えば「幸せに生きること」。