自分しかいない空間で過ごす。
それを「束縛されなくて快適だ」と楽しんでいる人もいれば、「一人でいるのは寂しい」と思いながら暮らしている人もいる。
でも、どんなに一人暮らしを謳歌している人であっても、少しは「寂しい」という感情があるのではないだろうか。
テレビを見ていて面白かったときに、笑いを共有する。
部屋でゴロゴロしながら、その日にあったことを報告し合う。
そういったことができないので、私も時々、寂しさを感じることがある。

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一人暮らしをしている理由は人それぞれ。
私も、大学進学のタイミングで上京してから、ずっと一人暮らし。
上京してきたときは、知らない土地での生活に不安でいっぱいだった。
社会人になると、都内の色んな場所に行けるようになったこともあって、もうすっかり慣れた。
「一人では絶対に行けない」と思っていた銀座も、今ではほぼスッピンで歩けるようになった。
独身で都内の企業に勤めている。
だから、地元に戻らずに一人でアパート暮らしをしている。
それが、私が一人暮らしをしている理由。

大変な時もあるけれど、一人だと気が楽だし、とても落ち着く。
普段、私は周りにかなり気を遣う性格。
あと、人と接するのがあまり得意ではなく、時に苦痛を感じることもある。
一日が終わる頃には、疲弊してしまっている。
仕事が終わり、帰宅するその瞬間まで、私の気が休まることはない。
心身を休ませるという意味で、私には"誰とも一緒に過ごさない時間"が必要不可欠。
24時間ずっと誰かと一緒なのは、実家で過ごしているときであっても正直つらかった。
将来、もし結婚したら、自分だけの部屋がないと耐えられないかもしれない。
私は、小説やエッセイなど、書き物をすることが好き。
誰にも邪魔されず、一人で集中しながら、黙々と文章を綴っていく。
好きなことをしながらゆっくり過ごせることに、とても幸せを感じる。
まだ、実現は難しいけれど、いつかこれが仕事になればいいなと思う。

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「一人は気が楽」と考えているものの、誰とも会わずにずっと一人でいたいわけではない。
心を許している人たちとたまに会うことも、私にとって必要なこと。
帰省すると温かく出迎えてくれる家族。
何か相談すると最後まで寄り添ってくれる、地域の人たち。
仕事の愚痴や恋ばななど、マシンガントーク並みに会話し合える数人の友だち。
ここで投稿しているエッセイを読んでくれている、行きつけのお店の店長さん。
私の人間関係が「狭く深く」なのもあって、会う人は限られている。
ものの考え方が他の人とはちょっと変わっているし、コミュニケーションを取るのがあまり得意ではない。
そんな私と会ってくれる存在がいること。
嫌な顔ひとつせずに会話してくれること。
見捨てずに手を差し伸べてくれること。
私は、みんなにとても感謝している。

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「まだ結婚していないの?」
「ひとりぼっちで可哀想」
そんなことを言われたとしても気にしない。
一人暮らしで今は恋人もいないけれど、私は決して不幸ではない。
一人ではあるけれど、孤立しているわけではない。
そもそも、人は自分一人だけでは生きていけない。
たった一人で暮らしていたとしても、生活する中で必ず誰かの手を借りている。
私の周りにも大切な人がたくさんいて、彼らに支えられている。
それは、とても幸せなこと。
当たり前であって、当たり前ではない。
関わってくれているすべての人へ「ありがとう」の気持ちを忘れずに、毎日を過ごしていきたい。