昨年の私は、たくさんの縁と出会えてとても幸せ者だった。
けれど、なぜだかこのことを誰かに言うのが恥ずかしくって、あまり人に言うことがなかった。だから、今回は私の良縁について、とことん自慢させてほしい。
はじまりは昨年の3月。
とあるゲームから派生した、ミュージカルをみる機会があった。本当になんとなしに、だ。友人からは「きっと好きだと思うよ」とは言われていたが、チケットを取る予定はなかった。けれど、ふと3月に「チケットってまだ取れるのかな」とホームページを確認したら、まだ残っていた。何故か迷わず1枚買った。そこからが始まりだった。
その舞台はとんでもなく素晴らしいものだった。私の人生を大きく変えるような、印象的なものだった。でもなぜこんなにも心が揺れ動いたのか理由がわからなかった。だから、私はまず主演の俳優さんを追うことにした。タイミングよく朗読劇があり、映画、舞台、そして3月にみたミュージカルが半年先にもう一度行われることが決まっていた。これだけでも恵まれている話だ。
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朗読劇をみて、エンターテインメントが楽しいと強く感じた。そのタイミングで、元々の「推し」の舞台出演が決まった。なんてタイミングが良いのだろうか。嬉しかった。もちろん観劇した。こうやって、「エンターテインメント」という場面で、様々な物語と出会い、俳優さんと出会い、劇場や脚本家さんと出会い、何かしらを感じ取っていった。気づいたら、1年間毎月どこかの劇場へ足を運んでいた。まるで自分が俳優のようだ。
それから、プライベートの人にも恵まれた。高校時代から仲良くしてくれていた友人2人から、それぞれ別のタイミングで互いの大切な友人を紹介してくれた。理由は「気が合いそうだから」とのことだったけれど、本当にそうだった。趣味が同じだったり、考え方が似ていたり、一緒にいて楽しい、そして心地いい人たちだった。大人になって、友人が2人も増えた。
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それから、新しく始めた仕事の先輩がとてもよくしてくれたり、同僚が年下だけれど気さくに声をかけてくれたり、本当に人に恵まれた。
昨年は、旅行にもいった。自分の誕生日に毎年どこかに出かけるのだが、今年は岡山にした。路面電車の中で声をかけてくれた少年や、観光地で声をかけてくれたカップル、それからひどく暑い日に住宅街を歩く私へ心配の声をかけてくれた夫婦。人の優しさに触れた旅だった。
だから、11月に縁結びの神様で有名な「出雲大社」へ行きお礼をした。初めて行ったから、お礼もなにもないのかもしれないが、たくさんの素敵な縁と出会わせてくれたことを誰かに感謝したかったから。
そのおかげだろうか、12月に仕事の出張先で再び素敵な人と出会う。人生の目標としたい人だった。
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こうやって、私は昨年たくさんの素敵な出会いをした。
そして今年、その縁が少しずつ繋がっているような気がしているのだ。
好きな劇場で推しの俳優さんが舞台をする、新たに出会った俳優さんが気になっていた作品の舞台に出る、そして人生の目標としていた人と再会ができそうなこと。しかも、私のホームタウンで。
私はなんて幸せ者なのだろうかと、少し怖くなるときがある。
ただ、唯一言えることは、すべては偶然で、必然ではないのかもしれないということ。
推しを応援できることも、仕事ができることも、物語と出会えることも、当たり前ではない。そう考えると、この縁の繋がりがこれからどうなっていくのか楽しみである。
こんな楽しみがある私もやっぱり幸せものだ。そして何よりこの自慢話ができることが幸福な出来事だ。