「“加工した顔”をきっかけに、素の自分を好きになることもある」エフェクトクリエイターSuaさん

――TikTokで顔や背景を加工するエフェクトクリエイターSuaさんのつくるヘアメイク・エフェクトが人気を呼んでいます。そもそも、Suaさんがエフェクトクリエイターを志したきっかけはなんだったのでしょう？

昨年まで美大に通っていたのですが、そこの卒業研究のために始めました。これまでに、エフェクトを題材にしていた方もいなかったですし。
「私今日めっちゃかわいい♡」と自分を認めてあげるというマインドまでもデザインして、ユーザーの皆さんと一緒にかわいいを共有したいなと思ったんです。結果として、TIkTok上でたくさんの方に使っていただき、同世代の方が賛同してくれたことで、学生賞や奨励賞をダブル受賞するなど、学校の中でも評価されることができました。

――Suaさんの熱意が学校を動かしたんですね。エフェクトクリエイターという道を自ら開拓したSuaさんの意気込みが伝わってきます。

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無料で簡単に流行の第一線に乗れるエフェクトってすごい

――Suaさんにとっての初エフェクトはなんでしたか？

エフェクトというものを初めて使ったのは中学生くらいのころでしょうか。SNOWがはやったのですが、エフェクトを使うことで、無料で簡単に「流行の第一線」に乗れるってすごいなって思ったんです。まさか自分が作る側にまわるとは当時は思ってもいませんでしたが。

――近年は、「正しい美しさはこれだ」という決めつけてしまうルッキズム（容姿至上主義）の問題が指摘されていますが、顔を加工するエフェクトがそれをあおってしまうことにはなりませんか？

もちろん、そういう側面を否定はできないけれど、エフェクトによって自信をもてるという方もいるんじゃないかなと思うんです。

実は私は双子なんです。今振り返ると、異常な体験だったと思うんですが、私の名前と、お姉ちゃんの名前を黒板に書かれて、どっちがかわいいか「正の字」で集計されていることがあったんです。そんな風に幼少期は顔の造形について姉と比べられることが多かった。だから、ずっと顔にコンプレックスがありました。でもエフェクトに出会って、心の持ち方が大きく変わったんです。

加工した自分でも行動が変われば自信につながる

「加工した顔は自分じゃない」とか「ありのままの自分を好きになれ」という声もよく聞きます。だけど、SNSが当たり前にある子たちにとっては、いきなり「ありのままの自分」を好きになれと言われても難しいし、むしろ、劣等感を強めてしまうかもしれない。だけど、加工という「クリエイト」した自分であっても、それで自信がもてて、行動が変われば、いずれはありのままの自分を好きになることもできるんじゃないかなって思うんです。 自分の容姿に自信を持つきっかけにエフェクトがなりうることもあるので、「エフェクト＝ルッキズム」というだけではないのかなあと思います。

――Suaさんの考える「かわいい」ってなんでしょう？

例えば「並行二重」や「毛穴のない白い肌」とか、そういう何か姿形のあるものじゃなくて、考え方・思考のことだと思っています。つまり内面。

私はエフェクト（加工）という「極限のかわいい」を日々作っています。変な話「あと何ミリ、目が寄っていたら……」とかそういう明確な基準がエフェクト上にはあるわけです。

エフェクトクリエイターだからこそわかる。容姿の「かわいい」は一瞬

だけど、それはあくまで、「今の流行」でしかない。1年後……いや、半年後だってその「流行」がかわいい保証なんてないんです。だけど、自分の内面のかわいさに気づく大事なきっかけにはなる。うつろいゆく「かわいい」だけを追いかけることは不毛だなと、この仕事をしているからこそ、強く思います。

――エフェクトクリエイターとしての目標を教えてください。

私は「かわいい」をクリエイトしていきたいと思っています。そのかわいいは、「自分をかわいい」と思える感情や内面のことをさしています。なので、私のエフェクトを通して、ユーザー自身が、自分のことを「かわいい」と思えることがなによりもうれしいです。そういうクリエイターになりたいと思っています。

後編では、Suaさんがかがみよかがみとコラボして作成した「バブル・オン」エフェクトの作成秘話をうかがいます。どういう使い方ができるのか？詳しく聞いていきます。

• 【続きはこちら】「バブル時代もZ世代も着飾ることで自信を持つのは一緒！」エフェクトクリエイターSuaさん

@kagamiyokagami_official 【かがみよかがみオリジナルエフェクトリリース】 人気クリエイターのSuaさん(@sua )とコラボしたバブルオンエフェクトが配信中🥳 ミラーボールとジュリ扇でどこでもお立ち台に早変わりします💃🕺 #バブルオン をつけて楽しんでください🪩🪩🪩 #リリース #エフェクト #ダンシングヒーロー ♬ DANCING HERO (EAT YOU UP) - 荻野目　洋子

Suaさんが利用している「Effect House」とは？

TikTokユーザーが誰でも気軽にエフェクトを作成できるプラットフォーム。Effect Houseでは、ユーザーが自分でエフェクトを制作し、TikTokで公開することができる。以前はTikTok公式制作のみであったエフェクトの可能性を広げ、TikTokのエフェクトを通して、新たなクリエイティブな空間をユーザー自身で開拓することが可能になった。 https://effecthouse.tiktok.com

また2023年4月より、TikTokの撮影画面からエフェクトを制作できる新機能も公開され、より簡単にエフェクトの制作ができるようになった。