「お酒は好きですか?」と聞かれたら、好きです。「お酒、よく飲むんですか?」と聞かれたら、少し黙ってしまう。

お酒は好きだ。何が好きかと言われると、味が好きだ。よく、お酒に酔ってフワフワした感覚が好きだということを聞くが、私はそうではない。味を楽しみたいだけなのだ。正直なはなし、おいしければアルコールが入っていようが、度数がどうだろうがどうでもいい。

しかし残念なことに、私はお酒に弱い。周りがまっかっかの顔に驚いて心配するくらいには弱い。父親と弟は1ミリたりとも“飲めない人”で、母親も弱いので嗜む程度。遺伝には逆らえまい。

また、弱いにも種類がある。すぐに酔っぱらって笑う人、しゃべる人、怒る人、泣く人、寝る人。私は「体調が悪くなる人」。頭が痛くなり、それを超えると気持ち悪くなる。何もいいことがない。

だからできれば酔いたくない。でもお酒の味は好きだ。好きだから、ノンアルコールの味がどんどんおいしくなっているのもわかるし、それでもやはりホンモノと少し違うこともわかる。わかりますでしょうか、この葛藤が。

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このように、私とお酒の距離感は例えるなら“これ以上好きになってはいけない関係”なのだ。さらにやっかいな点を挙げると、私は特に日本酒とワインを好む。なぜよりにもよって度数が高い種類なのだ。かわいらしい甘いお酒には興味がない。それを飲むくらいならおいしいジュースを飲みます。

辛口の日本酒と辛口の白ワインに取って代わる存在には今のところ出会えていない。

なぜか小さい頃から奈良漬けが好きだったから、大人になって日本酒を好きになるのは当然の成長だと思う。さらに祖父が日本酒好きなこともあって、お正月などのめでたい日には、母が「少し良い日本酒」を買って祖父母宅を訪ねたものだ。それを「ちょっと舐めてみい」と祖父に勧められて舐めてきた私は、英才教育を受けていたのかもしれない。

でもやはり体調を悪くするのは嫌なので、私なりに、お酒のちょうどいい量を学生の頃から見極めてきた。今は、その時のコンディションにもよるが、概ねコントロールできる。

あと全員に共通するポイントは、お酒と同量(度数高い場合はそれをかなり薄める量)の水を絶え間なく飲むこと。これ1番大事です。テスト出ます。というか義務教育に入れてほしいくらいです。

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本当にお酒を楽しみたいときは、1人で家で飲む。メイクを落として洗顔をし、歯を磨いたあとに飲む。最悪ぶっ倒れて寝てしまっても最悪の事態にならないように事前準備は怠らない。楽しんだあとの罪悪感や絶望感は興ざめの極みだ。おいしかった、楽しかったで締めくくりたい。
お酒が体に良いだの悪いだの、色々あると思うが、全てに対して思うのが、人に迷惑をかけないなら自分の好きなように生きたらいい、ということ。体のことを思ってお酒を我慢して健康を保っても、ストレスで体調を悪くしていては意味がない。早死にしてもいいから好きなもの食べて飲むんだ!と言っているおじいちゃんおばあちゃんが大好きだ。私もそうでありたいと思う。

もうちょっとお酒との距離を縮められたらいいのだけれど。