私にとって居心地の良い場所は女子大なんだ。
そう気づいたのは1年前大学に入学したころだった。

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別に男子が苦手なわけでもなく、辛い恋愛体験をしたこともない。
受験する大学を選ぶときも、共学か女子大かこだわらずに決めた。

結果、合格したのは第2志望の大学。
高校まで共学に通った私が第2志望に選んでいたのは女子大だった。

初めての女子だけの学びの場。入学当初は女子しかいない環境にそわそわしたし、何より落ち着かなかった。 でも、女子大で周りの子が分け隔てなく接してくれたおかげで、私はありのままの自分を出せるようになった。

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女子大に対するイメージは良いものばかりではなかった。

「お嬢様ばっかりなんでしょ?」「女子大って恋愛できない」「合コンいかないの?」
高校の同級生に自分の通う大学の名前を告げると、このような返事が返ってきた。
どこか皮肉や嫌味に聞こえた。女子大は守られていて恵まれた人が通うところ。

そんな世間の女子大のイメージに、「私」が当てはめられたように感じて嫌な思いが増した。

共学の学校で過ごした中高時代。私は、常に周りの目を気にして生きていた。

当時を振り返れば、隣の席の男子と話しただけなのに、その男子のことが好きな女子ににらまれたこともあった。 異性と仲良くできる人が権力を握り、教室の空気を作っていった。

自分の言いたいことが言えない。自分のことで笑われたらどうしよう。
自分の思いに反する行動をした。注目の的にならないように普通にしてようと思っていた。

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そんな状況に苦しんでいた時期を思い出す。

だからこそ、女子しかいない場所、異性の目も異性を気にする同性の目も気にならない場所に安心する。

やりたいことをやりたいと言えるし、自分の思いをはっきり言葉にできる。
周りも自分の意見に耳を傾けてくれるから、私も周りに優しくできるようになった。

しかし、共学に行かなければよかったとは思わない。

むしろ共学に通った経験があるから、女子教育の良さがわかる。
一度、同性だけの環境に飛び込むと、異性と話すときも良い意味で性別の違いを意識しなくなった。

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かえって、男女の壁を気にすることがなくなったのだ。それは、女子しかいない場所で、相手はもちろん自分のことも尊重して関係を築くようになったからだ。そのおかげで、男女だけでなく、子どもやお年寄り、外国人など自分と異なる年齢層や属性の他人に対等に接するマインドができた。

自分と違う世界の人。そうやって、これまでの私は、知らないうちに他人との間に見えない壁を作っていた。差別していたのは私のほうだった。

ジェンダー問題の観点で女子大のあり方が問われる中、女子教育をやめて共学化に踏み切る大学も少なくない。私は女子大がなくなってほしくない。もちろん共学にも良いところはあると思う。だが、同性だけの環境に入って変わる人もいることを忘れないでほしい。私のように、自分を見つめ直して自信を持つことができるようになるから。