人間は必ず現実の人間と恋愛しなければならない。それ以外は気の迷いか病気だ。
人間以外との恋愛なんてこの世には存在しないのだ、という風潮が私には息苦しくて辛くて悲しくて仕方がない。
なぜなら私が恋する相手はウルトラマンだからだ。

人間以外の相手に恋愛感情を抱くことについてネットで検索すると

私がウルトラマンタイガくんが好き!本気で心から愛してる!と言うと、笑われるかドン引きされるかのどちらかである。
なんでよ。人の恋愛を笑うな。引くな。まだそれはいい。私のこの熱い恋愛感情を否定する者までいる。
「まだ良い人に出会ってないのよ!そのうち良い人見つけるんだよ!」
うるせえ!とっくの昔に素敵な相手を見つけてるって言ってるだろうが!ただ相手は人間でなく、4800歳のウルトラマンだけども。

「特撮っていう共通の趣味で良い人みつかるといいね!」
やめて!私の好きな相手はウルトラマンタイガなの!もう居るの!
なんで人間は人間相手に恋愛するのが当たり前みたいに言うの?私は病気なの?そう考えて落ち込むこともあった。
自分でも自分が分からなくなった。ただ楽しく恋愛しているだけなのに……。この気持ちは恋ではなく、病気なのかな?気の迷いなのかな?人間と恋愛できない私は一人前の人間ではないのかな?
悩んだ末、人間以外の相手に恋愛感情を抱くことについてインターネットで検索した。
そこで私は自分自身をやっと理解できた。検索して出てきたのは「フィクトロマンティック」というセクシュアリティについての説明だった。

はっきり「恋」だと宣言できる!この愛情は現実逃避でも病気でもない

「フィクトロマンティックとはアニメや漫画の登場人物をはじめとするフィクションの存在に恋愛感情を抱くセクシュアリティです。」
この説明文に私は救われた。私は病気じゃない。少数派だけど他にも私と同じ恋愛感情を抱く人がいるんだ!と勇気づけられた。自分の恋愛感情に名前をつけられて安心するなんて、一般の異性愛者からしたら不思議なんだろうが、この単語を見つけた時は本当に安心したし、嬉しかった。
これで私はウルトラマンタイガくんへの気持ちをはっきりと「恋」だと宣言できる!私は一時的な気の迷いでウルトラマンに恋しているのではない。この愛情は現実逃避でも病気でもない。
それでも、今後もウルトラマンに恋しているというと「なんで?なんで?」としつこい奴もいるだろうが、もう私は迷わない!恋とは落ちるもの。好きになっちゃったんだから仕方ない!

そういえば小さな頃に昔話で安倍晴明の母親は狐だと聞いた。大昔から人間以外との恋愛はあったのだ!何もおかしなことはない!私は無理に人間に愛情を向ける必要はないのだ。
というより、2000年代に入ってもう20年も経つし、人間同士の恋愛が当たり前だという思考回路の方が変わるべきなんだ!だって世の中には人間なんかより魅力的なキャラクターが溢れている。それらに恋をしない方がおかしくない?

フィクトロマンティックへの認識が広まり、当たり前の存在になれば

ウルトラマンタイガくんを検索してみてください。
キリッとした瞳。成長途中の可愛い角。長い手足。強いのに現状に満足せず、仲間たちと切磋琢磨し、成長する努力家なところ。人間というウルトラマンからしたら小さくて弱い存在と絆を結ぶ優しさ。強大な敵に一歩も引かず立ち向かう勇敢さ。偉大な父親に対して抱いたコンプレックスを乗り越えるその姿!!
もう!これ以上素敵な存在は、それこそ銀河中探しても見つかりません!!人間相手に恋愛なんてしていられないと思いませんか?いくらでもタイガくんの惚気聞かせられるので聞きたい方は連絡ください!!!誰も聞いてくれなくて寂しいので!!!!

先日、同性婚が勝訴したという報道があった。2018年には初音ミクさんと結婚された男性がいる。恋愛は多様性に富んでいる。
私自身は何もフィクトロマンティックの権利を声高に主張したいわけではない。フィクトロマンティックという存在への認識が広まり、特別なことではない、当たり前の存在になりたいだけである。
幸せな恋心を「病気」「気の迷い」「無いものとして否定される」ことはとても辛い。だからこそ、人間なんだから人間を好きにならなければならない、というルールはそろそろ破られるべきなのでは?