「すべての女性のみなさん、みなさんの代弁者となれたことが、私の最高の誇りです。私たちはいまだ、あの高いガラス天井を打ち砕くことができていません。しかし、きっと誰かが、いつの日か、私たちが思うよりも早く叶えてくれることでしょう。それから、今この演説を聞いている女の子たちへ、あなた方には価値があり、強さも備え、この世界であらゆることに挑戦するにふさわしいということを、決して疑わないでください」

2008年、ヒラリー・クリントン氏がアメリカ大統領選に敗北した時に発表した、「ガラスの天井」スピーチだ。女性とキャリアについて考えてみた時、真っ先にこのスピーチが頭に浮かんだ。

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私は仕事が好きだ。元々誰かに尽くしたい欲が強いこともあるし、新しい事にどんどん挑戦したいからだ。できればずっと仕事をしたい、と願う反面「女性」という壁が私のキャリアの道を塞ごうとしているのではないか、と思う時がある。結婚、妊娠出産、育児、夫の転勤など、女性のキャリアアップと夢のライフスタイルは相反するものだと、以前から思っていた。結婚や出産は決して悪いものではない、むしろ祝福されるものだと頭の中では分かっていても、キャリアのことを考えてしまうと鬱陶しく感じてしまう。

両方取りはダメなのか?

つい最近の話だ。知人が第二子を妊娠し、近々産休を取る事となっている。数ヶ月ぶりに会った彼女のお腹はとても大きく、その子の話をするときの表情はとても柔らかかった。

しかし仕事に触れた時、「産休が1年間だから、戻ってきた時にどこかに飛ばされないか心配」と晴れやかな顔が不安な表情へ変わった。

「え?どうして?なぜ産休を取ったから、どこかへ異動になる心配をするの??」と、私は疑問に思った。彼女の口から出たということは、おそらく過去職場であったに違いない。

時代は令和だが、今も女性のキャリアを遮ろうとする風潮があることに失望した。

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これは彼女に限った話ではなかった。思い返せば、別の友人も出産のタイミングで仕事を辞めていた。大学の同期も。そして似たような話が私にもあった。
派遣先との面談で、「仮に私が妊娠した場合、契約はどうなるんですか?」と訊いた。

「状況にもよりますが、産休に入った時点で派遣終了となります」

まあ、そうだよな、と納得しようとしたがどうも納得いかなかった。それは派遣社員だからではなく女性として。その時、ガラスの天井スピーチが思い浮かんだ。仕事がしたい、派遣社員でもどんどん挑戦したい、同時にライフスタイルも充実させたいと願うが、私の頭上には透明のガラスの天井が張ってある。理想の姿が見えるのに、破ることができない。

「私たちはいまだ、あの高いガラス天井を打ち砕くことができていません」

私は何も言い返せなかった。

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このエッセイのために働く女性について調べた。昔教科書で学んだ「M字カーブ」と言われる、年齢による女性の就業率のグラフは、今は字の底が上がり、全世代で働く割合が高くなったそうだ。しかしながら私はこのデータに疑問を抱く。「この割合の中に仕事しか選べなかった女性がどれくらいいるのだろうか?」と。捻くれているが、これが働く1人の女の意見だ。

もっと仕事を頑張りたい!もっとプライベートを充実させたい!!欲張って何が悪い、どちらも両立したいんだ!!これをずっと言いたかった。

「もっと、もっと、1人でも多くの女性たちが、この世界であらゆることに挑戦できるように」。いつか私たち女性がガラスの天井を打ち破る、その日を夢見ながら今日も働く。