最近、マッチングアプリで出会った気になる彼がいる。
その人とは、ゴールデンウィークに1度新宿で食事をした。アプリを始めて1ヶ月、ゴールデンウィーク期間に約20人と食事をした。ほかの人はアプリでメッセージを何通かやり取りしているうちに、自然な流れで向こうから「実際に会わないか?」と誘われた。
でも、その彼だけは、唯一、自分から食事に誘った。

何が私をそうさせたのか?
純粋に、プロフィール写真に映る笑顔が素敵だった。向こうから「いいね!」が来た時は少し嬉しく、初めてのメッセージで素直に「お写真素敵ですね」と送った。
そして、実際に新宿で会うことにした。
私が少し早く着き、向こうが定刻にやってきて、「雰囲気で、そうかなと思いました」と声をかけてきた。それが、緑が生い茂るゴールデンウィークの最中、彼との初対面の日だった。

◎          ◎ 

お店に入ると、なんだかんだ子どもの頃の話や仕事の話に今後の仕事の方向性などで盛り上がり、お店を出る時は、もうすっかり辺りは藍色の薄闇に包まれていた。
新宿駅までの帰り道、お互い触れるか触れないかの距離感で2人で並んで横断歩道を待っている時、一瞬「このまま赤信号でいてくれたら」と思った。それくらい、なんだか名残惜しかった。
それは、私だけでなくて、きっと彼もそうだったと思いたい。

会ってる間の彼は、アプリのプロフ写真の通り、終始澄んだ笑顔で、明るく、オープンマインドで、適度な距離感で会話する人だった。料理をモバイルオーダーし、話が始まると携帯を鞄の中にしまい、職業柄なのか前のめりに座りながら、親身になって話を聴く態度や、ところどころ相手を立ててくれる、そんな余裕やナビゲーションに、メッセージでやり取りする時より、より一層好感をもった。

新宿駅のホームで連絡先を交換し、私は湘南新宿ラインに、彼は反対側の山手線に乗って、2度手を振りながらそれぞれの帰路に着いた。
「今日は楽しかったです。また美味しいものでも食べに行きましょう」と、電車内で揺られる中、彼からLINEが送られてきた。

「私も楽しかったです。冗談じゃなくて、またお会いしませんか?」と返した。

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私は、そんな彼に来週博多で会う予定だ。私は普段は仕事で九州にいるので、東京へ帰省中の時以外は、彼が西日本に出張の時などしか会いづらい。
それも、まだ出会って1回目。友達以上恋人未満の関係だからだといいたい。

この先、願いが成就して、晴れて2人の関係性が「恋人」になれば、この夏は一緒に映画をみたり、東京のアートバーで一緒に絵を描いたり、九州の地を一緒にドライブしたりしたい。
彼も東京生まれだが博多に縁があるので、本当はひっそり2人で関門海峡の花火を観たりしたい。その最中も、その後も、お互いについてもっと知り合いたい。