「同期は大切にした方が良い」
会社に新卒で入社してから、私が新卒だと伝えると、事あるごとに先輩や上司から言われた言葉だ。
同期だから一緒にいて当たり前で、会社で一番仲良くなるだろうと思っていた。これまでも同期とは、定期的に研修で顔を合わせたり、飲みに行ったりした。近場でのバーベキューだけでなく、夏休みに小旅行に行ったこともあった。
しかし、たくさんの人から何度も「同期は大切にした方が良い」と言われていたが、意味がわかっているようで、あまり腹落ちはしていなかった。
とうとうその言葉の意味を実感する日がやってきた。
◎ ◎
昇格が決まった日、同期で飲みに行った。
本当は昇格試験お疲れ様の意味を込めて、試験の日に行う予定だったが、昇格試験の付近はみんな忙しく、合否が発表される日に飲みに行くことになった。
私は、2024年の目標に掲げていた昇格をするという目標が叶った。
そして、今回の試験は絶対評価であったため、同期も一緒に昇格が決まった。合否発表の日に飲み会を設定したので、みんな合格になって本当に良かったと胸をなでおろした。
同期がみんな同じタイミングで昇格試験を受けるのは、今回で最初が最初で最後だろう。
そして、みんなが合格になるのも、最初で最後だったので、安堵の気持ちを分かち合うことができた。
飲みながら、研修時代にはこんなことがあったよねという思い出話に、花を咲かせた。
自分たちより下の世代が続々と転職をしていく中で、私たちの代は新卒からのメンバーが残っている方だった。もしかすると職位が横並びになっている今が、一番仲間意識が強い時期かもしれない。
◎ ◎
これから子供を持つ人、管理職になる人など、ライフステージが分かれていく時期に突入する。私はまだ結婚もしていないし、子供もいない。同期の中で、まだ子供がいる人はいないが、もう家を購入している人がいる。
置いていかれた感が否めない。
同じ同期なのにちゃんと仕事だけでなく、ライフプランも考えていることに、仕事の忙しさを言い訳にしている自分の不甲斐なさを感じた。
結婚していないのは私1人だけなので、やはり恋愛の状況を聞かれる。笑い話のように受け取って欲しいと思う気持ちと、何かしらアドバイスがほしいという思いもあり、ありのままの状況を打ち明けた。
同期の中には誰1人結婚してないからだめだという風に言ってくる人はいない。彼氏や夫がいなくても温かく迎え入れられている感じがする。
当たり前のことかもしれないが、そうやって誰かを否定しない雰囲気が大好きで、居心地の良さを感じる。
そう思った瞬間、同期っていいなという思いが湧き、胸の奥がじんわり温かくなった。
◎ ◎
先日、会社の後輩たちと飲む機会があった。
気づくと歴代の先輩のように私も「同期は大切にした方が良い」と口にしていた。
先輩ぶってる自分にこそばゆさを感じつつも、願わくば後輩たちが長く会社にいて、やっぱり同期は大切だなと思う瞬間が来てほしいと思った。
歴代の先輩たちもそう思っていたに違いない。