かがみよかがみでは、「女性が希望のキャリアを選択できる社会」に向けて、社会全体で取り組む機運の醸成を目指し、8月21日「女子大生の日」に向けた特集企画を開催しました。かがみよかがみを中心に、朝日新聞社が運営する6つのメディアとともにエッセイを募集しました。
今回は、「GLOBE+」とのコラボテーマ「私と世界のつながり」で採用されたエッセイの中から、入賞作品を関根和弘編集長の総評とともに発表します。大賞作品は、8月21日に実施する「女子大生の日」のイベント内にて発表します。
GLOBE+関根和弘編集長からの総評
大賞と入賞の計四つのエッセイには共通点があります。それは「私と世界のつながり」をつづる上で、筆者自身が行動したり、感じ考えたりしたことがベースになっているところです。
駆け出しの頃、先輩の記者からこう言われました。「文章力とは取材力。いい文章とはたくさん取材したかどうかだ」と。小手先の修辞に逃げるのではなく、事実を伝える記者の文とはこういうものだ、という姿勢がにじんでいました。それ以来、この言葉を肝に銘じ、ねちっこい取材を心がけてきましたが、ネットやSNSなどを通じて誰もが情報発信できるようになった今、私が改めて思うのは「文章力とは自らの体験力」だということです。
語るべき何か、つづるべき何かを持っている人の文章ほど読ませるものはありません。その「何か」とは、その人自身の行動や、その過程における思考によって裏打ちされるものです。私たち新聞記者は情報を過不足なく伝えるのは得意です。でもそのような文章は何だかトリセツのようであり、「体験力」に基づいた、「私」を主語とし、時に自らをさらけ出していくような文章の力強さには及びません。また、募集時のコメントでも書きましたが、海外暮らしの経験や語学力を駆使して海外の人と上手にコミュニケーションすることだけが世界とつながっているわけではありません。たとえ「半径5メートル」の出来事であっても、そこから筆者自身が感じたこと、考えたこと、行動したこと、将来にどうつながっていくのかなどに、私は興味を持ちました。
グローバル化という言葉はやや手垢にまみれた言葉になっていますが、皆さんのエッセイを読むにつけ、グローバル化とは身近なところで起きているのだと改めて思いました。受賞者を含め、応募してくれたすべての方が、今後も「世界とのつながり」を楽しみ、貴重な出会いや発見の機会に恵まれるよう、祈っています。
◆入賞作品
身近にいる「自分とは違う」人に目を向けること。その想像力と勇気が遅すぎることはない(かすみ草)
中国にもルーツがある筆者は幼い頃にインターナショナルスクールに通った経験から、周りの同世代の人より早く「世界」とつながることになりますが、その後通った公立学校では同級生のからかいなどに遭い、自らを「恥じる」ようにすらなってしまいます。再び自信を取り戻すきっかけになったのが、進学先の国際系の大学だったそうです。「世界とつながる」とは、「生まれて初めて『自分らしい』自分に胸を張って生きている」ことだと筆者が悟るまでの経緯は、筆者自身の半生がぎゅっと凝縮されているようで、とても読ませる内容でした。
「お互いに話したい気持ちがあるのは同じですね」兄の国際結婚で縮まった私と世界の距離(元町ひばり)
兄が中国人の女性と結婚し、その挙式当日に起きた「ハプニング」から「世界」とのつながりを感じたエピソードは、読み手にとってもイメージしやすく、「半径5メートル以内」の国際問題として身近に感じられました。中国語が話せる兄や義理の姉が退席してしまい、筆者は義姉の母親とのコミュニケーションに苦労するのですが、それがかえってお互いの「距離」を縮める結果になったようです。この世界はまだまだ優しく、希望が持てるのだという読後感でした。
あの時の鳥肌が忘れられない。TOEIC260点の私にできた台湾のお友達(みなちゃん)
「世界とつながる」のに大切なのは語学ではなく、つながりたいという意志や対象(人や国、文化など)への好奇心なのだと、改めて感じさせてくれる文章です。筆者は英語が苦手ですが、イベントで出会った台湾のチェンさんと何とかコミュニケーションを重ねていくうちに、関係が深まっていきます。後日、台湾で大きな地震があった際もチェンさんのことが心配になり、SNSで安全を確認するまでになりました。気持ちがあれば、国境や物理的な距離を越えて、世界の人たちとつながっていけるのだということを、筆者は自身の経験を通じて証明してくれました。
大賞作品は8月21日「女子大生の日」イベント内で発表
大賞作品は、8月21日(水)20:00から、かがみよかがみ公式Xのスペースにて、発表いたします。
みなさまのご参加お待ちしております!