わたしは、以前のわたし自身の価値観をとてもこわいと思う。

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つい最近まで…20代前半くらいまで、もっともっとちやほやされたいしモテたい…!男性が目をハートにして寄ってくるような目が大きくて鼻が高くて肌に透明感があるような綺麗な顔した女性になりたい…!細いけど胸はあるナイスバディになりたい…!と、下世話なことばかり考えていた。

当時の私は女友達が語る知らない男性とワンナイトしたエピソードを嬉々としてき入った。モテる女の子って羨ましい!男性はいつだってスタイルが良かったり顔が綺麗な可愛い女の子を褒めるし優しくするし優遇する、高価なプレゼントをくれるご馳走だって奢ってくれる。

わたしの中ではかわいくてモテる女=人生の勝者だった。

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それにかわいくてモテる女の子と仲良いってだけで、一目置かれるのだ、あの子と友達だなんて羨ましいと。最早その存在が、その周りまで気分を良くしてくれる。なんてハッピーな存在なんだ。この世は見た目至上主義だ。

かわいくなる為に美容整形も本気で検討していた。施術の金額や痛みがネックだとか考えながら、ダウンタイムを乗り越えたらわたしもバラ色人生が待っている気がするとか具体的に想像していた。

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ニュースでの性被害の報道は、性犯罪に対するあやふやな表記や言い回しが多いと思う。当時のわたしは、性被害について無知であったし抱きつかれたり、お尻や手を触られたり、卑猥な言葉を投げかけられたりしたんだろうなと、気分は害するがその程度だろうと思っていた。想像力や危機感など女性として生き抜く為に必要なものがいろいろ欠如していた。

ある日、レイプについて被害者の女性が涙ながらにインタビューに答えている動画を見た。血の気が引くような話だった。口の中がカラカラに渇き、寒気がした。人が人に行う所業ではない。頭が痛くなった。
性犯罪の罪について調べたら、日頃からニュースで報道されていた漢字の羅列だった。わたしはこれほどおぞましい内容の犯罪のことを知らなくて、スルーしていたのだ。

女性よりはるかに強い男性の力や逞しい筋肉を頼もしいと、かっこいいと感じていた自分に対して力が抜けるような気持ち悪さを感じた。

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男性がちやほやしたり褒めたりして女性の気分を良くするのは、警戒心を解かして性欲をぶつけやすくする為の下準備なんじゃないか。
そう感じてしまった。

もちろん全ての男性が性犯罪者のような外道だとは思わない。だけど、本能的に見た目が美しい女性に対して男性は性欲を煽られるのではないだろうか。

男性に対する不信感が芽生えた。被害に遭ってないわたしでもそうなるのだ。被害者の女性はどれほど苦しい思いをしているのだろうか。被害者の女性が最大限良い方向に回復して、幸せに暮らしていって欲しい。

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見た目至上主義かわいければ人生バラ色いかに世間知らずでバカで愚かで危険な価値観だったのだろう。
だがこの以前のわたしの価値観は、きっとたくさんの人が持っている。
否定しないし肯定は絶対しない。だがわたしは一番こわいと感じる。