私が何かを変えるなら、女性としての働き方を変えるだろう。

これまで何度か話題になっていた、選択的夫婦別姓。一向に話が進まないまま時が過ぎているが、私はこれに賛成している。
選択的、とあるのだから、必ずしも別姓にしなくてもよいのではないだろうか。同姓になりたければそのように手続きをすれば良いと思う。

◎          ◎

私の場合は、私生活は夫婦が同姓を名乗っていても構わない。別姓を使いたいのは、仕事のときだ。
結婚前から勤めている職場は、もともと旧姓で呼ばれているので、旧姓で呼んでもらえたほうが違和感なく仕事ができる。さらに、名前を変更した場合、職場にわざわざ結婚したことを伝えて、書類の提出や名札の変更、上司への報告などいろいろとしなければいけない事務手続きが多すぎる。
いっそのこと、芸能人の芸名のような扱いでも構わないので、この人はこのように呼ぶなど申請できるようになってほしい。

結婚したために、女性が名字を変更し、会社でも新しくなった名字で呼んでもらわないといけないのがずっと不思議なのだ。
私なら、結婚前から働いている職場であれば旧姓のまま仕事がしたいと思う。

変更手続きや周りの馴染みは、一瞬の出来事であり、時間が経てば順応していく。次年度から入ってきた新入社員には、初めて会う時点ですでに新しい名字なので、全く関係のない話だ。
それでも、変更する必要はないと感じる。むしろ、変更しなくても十分仕事はできる。本人は何も変わらないのだから。これまで通り同じ仕事をして同じように毎日を過ごす。名前を変えたからといって仕事のパフォーマンスは変わるはずがない。

◎          ◎

プライベートでは夫婦が同じ名字にしても構わないというのは、そのほうが便利なのではないか、と考えるからだ。
特に、子どもができた場合、保育園や幼稚園、学校に登録するときは同姓のほうが良い。記入が楽だからだ。昔から今も、夫婦は同姓であるものという刷り込みがなされているからかもしれない。そのせいもあってか、全てが別姓というにもやや抵抗があるのは否めない。
事実婚や結婚生活の多様化が、もっと当たり前になれば味方も変わってくるかもしれないが。

これは、今の名字にどれだけ満足しているか、にも関係する話だろうか。
自分の今の名字には、愛着は持っていないものの、変えなくて良いとも思っている。結婚後、珍しい名字に変わるのであれば、自分は旧姓を名乗ったほうがしっくり来ると考えることがある。フルネームでいちばんバランスの良い響きとして認識している以上、無理に変える必要性を感じない。20年以上この名前を名乗ってきたのだから馴染みがあるのは当然だと思うが、変わらないことへの安心感もある。

選択的夫婦別姓は今のところ、結婚後の名字を旧姓にするかどうかで選択的としている。ゆくゆくは、場面や個人の事情においてさまざまなシーンを想定して選択できる環境を作りたい。私のように、仕事をするときだけ旧姓を使う場合や、反対に子どもがらみの手続きをする場合だけ同姓を使う、というのが一例だ。
女性に限らず、さまざまな働き方が認められてきた時代に、夫婦は皆女性が相手の姓を名乗り、戸籍に入ること、とする制度を永遠に使わなくても良いと思っている。自分たちが暮らしやすいように、過ごしやすいように制度を使うことができれば、さらなる多様性も生まれるかもしれない。

◎          ◎

女性は結婚したら家庭に入る、なんて時代はとっくに終わった。結婚しても働き、子どもが生まれても復帰し、仕事はどんなときでもしなくてはならない存在になっている。だからこそ、これまで旧姓で仕事をしてきた職場では、旧姓で仕事をしたほうが馴染みやすいこともあると考える。
仕事をするときは旧姓で、その他は同姓で、私はこのように使い分けたい。
自分が結婚しても、仕事ではこれまで通り旧姓で仕事をしたいと思うから。わざわざ変える必要はないと思うから。
仕事は、自分が持つもうひとつの顔。そこに旧姓を使うことで、仕事のスイッチも入る。

もちろん、名字を変えたらそれだけを使えば良いという人もいる。旧姓よりも新しい名字のほうが好きという人もいて良い。新しい名字を名乗るか、旧姓を使い続けるか、を場面ごとに選択できる制度が欲しいということである。そして、もし私が制度を作るのなら、これを実現させたいと思う。