ごめんなさい、元彼さん。あなたとお付き合いしていた時に私は浮気をしていました。君と別れて2年が経つのでこの場で成仏させていただこうと思います。

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元彼A君とは私が21歳、A君が19歳の時に出会い、私たちは出会ってすぐ付き合った。付き合ってすぐにコロナ禍になり、私の仕事も彼の大学もテレワークや遠隔授業になり、一緒にいる時間がとても増えた。そのまま流れで同棲することになったのだが、A君と過ごす時間は本当に心地が良くて、まるでずっと昔から知り合いだったかと錯覚してしまうほどだった。私の仕事が現場に戻るまでの約2ヶ月間毎日家で一緒に過ごしていたのに、小さい喧嘩も衝突もなく平和に過ごせていた。この前まで赤の他人だった人とこんなにも違和感なく過ごせるのは本当に波長が合うからだと思い、彼に対して不満も何もなかった。それから私の仕事が現場に戻り、彼の大学へ徐々に通学するようになってからも生活は変わらず、平穏にお付き合いをすること約1年。平和すぎる生活に私は少し飽き飽きしていた。

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そんな時に昔のフレから唐突に連絡が来た。その日はちょうど彼が友人と飲みに行く日で、私は退勤まであと1時間というところだった。「飲みいこ、19時に池袋西口で」と私には一切の拒否権がないような文面を見て懐かしいな、と思ってしまった。彼が連絡してくる時はいつもそうだった。

彼とは私がA君とお付き合いする1年ほど前に出会った人で、友人のバイト仲間だった。その友人が休みの日にそのバイト先に飲みに行き、店が閉店したら店のみんなで朝まで飲みに行くというルーティンが週に一度の頻度であった。彼とは何かきっかけがあったわけではないが、気づくとセフレ関係になっており、約半年間、週に2回くらい会っていた。

もちろんホテルに行っていたが、ただ飲みに行って解散の日もあれば、昼間からデートのようなことをする時もあった。しかし、彼から決定的な付き合おうという一言はなく、私からも何も言わなかった。そんな中途半端な関係もう終わらせなきゃと思い、半年ほど経った寒い冬の日に私からは連絡はやめた。彼の方も何かを察したようで、その後何も連絡がなく私たちの関係は曖昧に終わっていた。中途半端に始まった関係なのだから終わる時も中途半端で私たちらしいな、とは思っていたが、どこか不完全燃焼のようななんとも言えない気持ちで、A君と付き合った後もたまに思い出してしまっていたのだ。

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いざ、彼と再会するとセフレだった頃の懐かしい淡い気持ちが蘇ってしまい、その感情に流されたままホテルへ行ってしまった。彼にも他に彼女ができていた。しかし、彼への気持ちは好きとかの恋心ではなく、昔の消化できなかった気持ちを今ここで発散させているような感情だった。その後も何度か彼とは会い、いつの間にかセフレ関係が再開してしまったのだ。A君への想いが冷めたわけでも、セフレのことが好きになったわけでもなく、自分でもわからないが、ずるずると関係を続けてしまっていた。

その関係が終わることなく1年ほど経っていた。だが仕事が忙しいのを理由にセフレとは徐々に疎遠になり、その後A君とも破局した。当時23歳だった私の行動を思うとアホらしいなとは思うが、不思議と罪悪感はない。だからこそA君と別れてフリーになった今、どこかほっとしている自分がいる。

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A君には申し訳ないことをしたとは思っている。だからこそ次に出会ってお付き合いする人のことは今まで以上に大切にし、浮気などという生産性のないことはもうやめようと思う。A君、あの時はごめんなさい。この場を借りて謝ります。