お金との関係はいつだって難しい。学生だった頃は、洋服メイクやカフェ、たまに教科書、とにかくほしい物がたくさんあって、その筆頭がお金だった。社会人になって、ある程度自由に使えるお金ができるようになると、学生時代のあの情熱はどこへやら、平日はお仕事に手いっぱいだし、休日はだいたい寝て買い出しに行ってあっという間に過ごす。

基本給に見込み残業代が含まれる私は、出来るだけ手を抜いて効率的に仕事を片付けつつ、さぼっているようにも暇なようにも見えない残業時間で帰ることにだって気を使う。好きなようにあるだけ使える訳じゃない。お金の使い方はたくさんの気遣いの中でも重要で、中でも一番気を使うのは、高校時代や大学時代の友人と会うときだ。

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社会人になって数年が過ぎると、結婚したり転職したり、22、3歳で大学を卒業し就職した後の、それぞれの人生の色が見え始める。子供がいて休職や時短で働いていたり、転職が成功したり失敗したり、大学生だった時には想像もできなかったくらい、いろんな人生があるのだと驚く事ばかりだ。それでもどんな生活でも、どうしたってお金の事は無視できない。

友人と会う場所にしても、せっかくの休日に頑張って時間を作って会うのだからちょっと贅沢したい派もいれば、趣味にお金を使いたしおしゃべりできればよいからファミレスのドリンクバーが一番お得。みたいな子もいる。ちょっと贅沢したくてもご馳走してあげる事は出来ないし、無理に参加させる事も難しい。そして目には見えないけど、その背景にはどうしたって、収入がいくらあるのか、奨学金の有無・子供や親の生活状況、いろんなお金の事情がちらつく。

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そんなお金の事情を友人間で話す機会はないけど、海外に旅行に行ったという話を聞けば私にはそんな余裕はないと思ってしまうし、私自身はコンビニのコーヒーを買うのを躊躇するとは言えない。なぜならそんないろんなの情報からはぼんやりと、友人たちの間での、生活ひいては人生の優劣みたいなものが分かってしまう気がするからだ。

もちろん、お仕事や生活が楽しい事が一番だし、お金があれば幸せってことでもない。でも、幸せや能力に計測できる単位がない以上、欲しいものと交換できる価値を持つお金をたくさん持っている事、そのお金をたくさん稼げる能力がある事、そんな風に、お金を介する事でいろんな事に単位がつけられると思う。生活や趣味、価値観がは違ってもお金の価値は比べようがないくらい絶対だ。

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そんな風に、お互いの価値観を明確にしてしまうお金だからこそ、その扱いには注意を払いたい。たくさんのお金を持っている事も稼げる事もそれぞれの状況がある中で自慢気にアピールするような態度は嫌だし、相手と比べ少ない事を卑下して不幸にもなりたくない。

集まった時に選ぶメニューや趣味の話、多くの行動から見え隠れする物だけど、心地良い距離感を見極めて、お互いに楽しく過ごせる方法を探していきたい。