なんとなく幸せ、でも「なんかもうやめたい」。私を旅へと誘う衝動

31歳の時に半年間、1人でニュージーランドを旅した。その時には結婚していたし、思い切った旅にしては31歳は若くないと自分でも気付いていたが、どうしても「異国」で過ごしてみたかったのだ。
旅に出たい、その気持ちを突き動かす大きな動機は「なんかもうやめたい」だ。仕事もあり、夫もいてなんとなく幸せ。けれど、スマホの電源をオフにするように、一旦生活から自分を切り離したい。そうしないと、日々キャッシュが溜まっていくように、頭も体も重くなる。旅がなかったら、人生がどんよりと沈んでいくような気がする。
半年間のうち半分はオークランドという街で過ごし、もう半分は旅をした。街では語学学校へ通った。ロシア出身のおじさん、タイ人のパリピ女子、韓国から娘と語学留学しているママなど、色んな国の人達と拙い英語で会話した。話せば話すほど、私の偏見が砕かれポロポロ落ちていった。
一人旅では登山をしたり、星空が美しい「テカポ」に行ってみたりした。全ての思い出が特別で鮮やかだ。
日本にいる今、その記憶たちは生活の隙間からひょっこり顔を出す。すると、私は日々の閉塞感から一瞬だけ解き放たれ、また「旅に出たい」と思うのだ。
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