現在多くの社会人が仕事や環境に悩みを抱え、「いっそ休職したほうがいいのだろうか」と考えたことがあるだろう。そんな人に言いたい。「休職しよう」と。

そもそも仕事を休職することは労働者の権利である。それを行使することは誰もとめられない、はず。自分以外。

なぜ休職することをためらうのか。自分が抜けると周りに迷惑をかけるから?休職してしまったら職場に戻れない気がするから?そもそも長期間休むことに罪悪感があるから?など。理由がたくさんあるから休職する一歩を踏み出せないのだろう。

でも、休職はした方がいい。したって何も悪くない。私にはそう思うに至った経験がある。

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教員時代、多忙と環境の悪さで職員室にいるのがつらくなり、ぽつぽつと休むようになった。ぽつぽつと休むと、いつ私が来るか分からなくて余計に職場を混乱させた。頑張って来ても褒められるわけがなく、休んだとしても安らぐことはない。

家族の紹介で病院に行ったら適応障害だと言われた。病院で病名がついたことに安堵した自分がいた。私はそこから3ヶ月の病気休暇、いわゆる休職をした。

最初は休めることが素晴らしく感じた。私、休んでいいんだ!バンザイ!今まで蓄積した疲労は泥のように眠ることである程度回復した。体がスッキリした。

と、ここで違和感。あれ?私3ヶ月も休み取ったけどもう解決したんじゃない?でも手続きしちゃったし休むしかないんだけど、休むって何すればいいんだっけ?「休む」のゲシュタルト崩壊、開始。

外に散歩に出かける?休んでる人が外出ていいの?ひとりカラオケ?休んでる人が遊びに行っていいの?当時の私は休み方を知らずに休み始めたため、休職1ヶ月目が終わる頃にはそんな悩みを抱え、逆に眠れなかったり疲れるようになったりした。

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休職2ヶ月目。もはや自分に何が許される行動なのか分からずもやもや。病院に行くと医師は言った、「休むことを頭で考えてつらくなるなら、楽しいと思うことをしなさい」。楽しいことしていいの?と思ったが医師の判断なので従うことにした。

そこから友人との遊びの予定を取り付けたり、家族で旅行に行ったりした。大好きな舞浜のテーマパークにも何度も行った。人生ってこんなに遊んでいいんだと思うくらい充実感に満たされた。あっという間に2ヶ月目が終わった。

休職3ヶ月目。楽しいことをしながら、来月は仕事か、とふと思う。でも結局、この2ヶ月楽しかったしな。そろそろ仕事したいな。この頃には仕事に対して前向きに行動することができた。1日少しずつ教材を見返したり、子どもの顔を思い出したり。

もちろん楽しい予定もギリギリまで入れた。休職の最終日に遊んだ友人が「あーあ、明日から仕事かー」と言った。「私もだわー」と返した。いい響きだと思った。

明日からの仕事に対して若干の憂鬱さを持ちながら、明日が来たら普通に仕事に行くんであろう言葉。私も休職が明けるのが少し怖かったから、友人の言葉で励まされた気がした。

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休職期間が終わった。相変わらず多忙だが環境は少し改善されていた。仲良くしてくれていた先生は復帰してきた私に何がどう変わったか、今どんなことに取り組んでいるのか伝えてくれた。私はその職場が居場所だと感じて働くことができた。

休職をした。どうしてもつらかったから。休職ってベッドで寝たきりになることじゃなかった。キラキラした自分を取り戻すことだった。

休職して居場所がないと思っていたところに自分の席ができていた。休職中の私に「何遊んでんだ」と水を差す輩がいたら私はこう返していた。「休職して何が悪い。本来の自分を取り戻すためにやってんだ!ベッドに張り付いていたって、部屋に引きこもっていたって良くならないんだ!」と。

休職を経験した私からは、迷っている社会人に強気に言える。「休職していいんだよ」「悪いことなんて何もないんだ」と。