「ねぇ、香港行かない?」

友達からの突然の提案。私は何も考えず即答した。

「いいよ、行こう」

賛成した理由は、なんか面白そうだから。

◎          ◎

飛行機を降りると、湿度の高いぬるい空気が全身を包み込んだ。日本の夏と大して変わらないのに、どこか異国の匂いがする気がするのは、気分の問題だろうか。
街にはものすごい数の高層ビルが所狭しとひしめき合っていた。日本にもビルはたくさんあるけれど、地震大国ではこんなに密集して建てることはないだろう。同じアジアでも、やはり異国なんだと思い知る。

定番の観光地である女人街へ向かった。ファッション雑貨や土産物、飲食店がこれまたびっしりずらっと並ぶ商店街。観光客でごった返すネオン街は煌びやかで、活気であふれていた。それなのにどことなく退廃的な雰囲気を感じるところが、なんとも癖になる魅力だ。

◎          ◎

歩き疲れて入ったお店で飲茶を食べた。小籠包もデザートの飲茶もどれも美味しかった。

その店は壁に極彩色のイラストが描かれていた。はちゃめちゃにド派手な色合いなのにどこか落ち着くのは、やはり私がアジア人だからだろうか。

日本とは違うのに、どこか懐かしくもなる香港。似て非なるもの。なのにまた帰りたくなる場所。