自分が情けなくて大泣き。「暮らし」をがんばりすぎていたあの頃

2023年。
彼が一人暮らしを始めた後、私は毎週のように家を訪れていた。
そして、なるべく"良い生活"ができるように頑張ってしまった。
その頃、私は実家暮らしで親の下で甘えまくっていた。
家事も掃除も、ごくたまにやる程度だった。
そんな私が彼の家を訪れ、家事をするようになる。
毎日のご飯、洗濯、掃除……。
ちょっと彼に良いところを見せたい気持ちもあったし、できるようにならなきゃいけないと思い込んでいたのかもしれない。
夜ご飯も、彼が帰宅する時間に合わせて準備をした。
どのくらいのご飯を作ればいいかわからなくて、安いからとキャベツを1玉買ってきたこともある。
彼は仕事着で白いワイシャツを着ているので、なるべく白く保てるようにウタマロを使ったり、干した後もアイロンをかけてほしいという彼の要望も聞いていた。
まぁ、私はアイロンが苦手だったので、ほぼ彼にやってもらったが。
そんな生活が1ヶ月続いたある日、家事が上手くできない自分が情けなくて、夜寝る前に大泣きした。
ちゃんとやらなきゃ、という気持ちばかりで彼と私の良いバランスが取れていなかったのだと、今ならわかる。
彼は「急に全部完璧にできるわけないんだから。お互い、少しずつできるようになっていこう」と言った。
その言葉にハッとしたし、私は母親みたいに全部をちゃんとやらなきゃと思いすぎていたことに気づいた。
その後、彼の転勤に伴い同棲を始めた私たちは、少しずつ家事の分担が身についてきた。
スーパーに行くタイミングや買うもの、天気を見て洗濯をすること、部屋の掃除……。
お互い衛生観念が同じだからこそ、ズボラなりにバランスを取っている。
今年の6月で、同棲開始から1年経つ。
あっという間だなという気持ちと、まだまだちゃんと暮らせていないなと思う気持ちがある。
最近、2人で話していたとき彼から言われたことがある。
「今は、生活を自然に分担できている気がする」
何かのストックが減っていることに気づけば、共通のメモに書いておく。朝ごはんのパンを買っておく。燃えるゴミの日に合わせて、ゴミをまとめる。
そして、「仕事で疲れてたし、お菓子買って帰ろうかな」と相手のことを思いながら過ごすこの時間も幸せだなと思う。
私もやっと"暮らし"が身についてきたのかもしれない。
半同棲をしていた頃の私は、頑張りすぎていたなぁと思う。
そして、彼も余裕のない時期だったからこそ、お互い無理をしていたのだ。
赤の他人同士で暮らしているからこそ、お互いのことを考えて生活する必要がある。
そしてその先に暮らしがある。
今の私は、そう感じる。
この先も、お互い余裕がなかったり、自分のことばかり考えてしまう日もあるだろう。
そんなときは、あの夜に泣いた自分と彼の言葉を思い出してみよう。
うまくいかない日も、きっと大丈夫。
頑張っていた自分も大事だと思えるようになったから。
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