業務上はたとえ必要なくても、やっぱりいてほしいのが同期

私には現在、会社で同期と呼べる存在はいない。
前職では私を含めて、新入社員は5人。男子3人、女子が2人。いわゆる同期がいた。専門学校を卒業して入社した彼女とは、2人だけの女子ということもあり仲良くしていた。その子は容姿も性格も可愛くて、男女共に愛される、良くも悪くも人間たらしという印象。
初めこそ、あざといというか、キャピキャピした雰囲気に少しのとっつきにくさも感じていたけれど、時間を重ねていくと彼女と話している時間が楽しくて仕方なかった。まだ幼さが残る彼女は、愛嬌があって上司にも好かれるタイプ。素直で、無邪気に笑う姿が可愛かった。休憩時間になると彼女のデスクへいって一緒にお弁当を食べながら、時に周りの人とも話しながら、恋バ ナをしたりした。
会社には、毎年恒例のゴルフコンペがあって、女子も少数ながらに参加していた。もちろんゴルフなんてしたこともないし、、、と尻込みをしていると、彼女も参加してみたいと言い、一緒に練習を始めた。
仕事終わりに、会社のおじさんでゴルフが上手という人にコーチを依頼し、初めての打ちっ放しに行ったりした。ああでもないこうでもない、筋がいいねなんて言いながら、暗い空の下で、疲れた体を左右に振って飛んでいくボールを見つめた。初心者で、女子だから優しく教えてもらえたというのもあるだろうけど、意外とそんな時間も楽しかった。きっと私だけだったら、こんなに人脈というか、気軽に会社の人と打ちっぱなしに行こうなんてならなかっただろうから感謝しなきゃなと思う。その頃は、結構充実していた。
他の男子勢3人も、別々の部署に配属されたものの、たまに仕事の関係でやりとりをしたりして別に関係が悪いということもなかった。集まればお互いに近況を報告しあったりして、愚痴も交えながら。
ところが、1年経つか経たないかくらいで、男子の1人が辞めた。あまりにも早い別れに驚く。そして2年目くらいで、残り2人の男子も次々に辞めていった。あれよあれよと同期が減って、残るは女子2人。私も大分仕事に悩んでいた時だった。
毎日楽しそうで特に辞めそうもない彼女だったが、実は家庭の事情で将来が決まっていて、その前の勉強も兼ねての就職だったらしく、結局その子も辞めてしまった。心の拠り所がなくなって、私の社会人生活の雲行きは怪しくなる一方。
結局私も色々とあって、心が耐えられず、辞めてしまった。でももし彼女が残っていたらどうだっただろう。彼女に頼りっぱなしもいけないというのはわかっているが、会社で楽しかった要因の大部分は彼女がいたからだ。
そして現職。零細企業を自分で選んでしまったがため、同期はいない。そもそも転職で同じタイミングで入社というのも少ないだろうし、とにかく再就職できることを優先していて、 特に転職活動中に考えたことなどなかった。
でもやっぱり、大学時代の友人との会話やSNSで見聞きしていると、同期の子と仲良くして、プライベートで遊んだり、結婚式に招いていたりするのを見聞きすると、羨ましいなと思ってしまう。
必ずしも同期がいた方が幸せだとは思わないけど、少なくとも私は同期が欲しかったなと思ってしまう。大学時代までの友人は、今はそれぞれ別の場所へ行ってしまって、住む世界がまるで違う。 共通の話題は最近の流行りや、無くなった店の話題も。
同期とはいわば戦友。同じ会社で働く戦友。最終的には前職でも、現職でも私は戦友がいない環境に来てしまった。だから余計に、同じ悩みを同じ目線で励ましあったり愚痴を言いあったりする存在がいなくて、辛くなる場面が多いのか、とも思ったり。
ずっとこの会社で働こうとは考えていないし、現実的に考えて会社の後継者の観点から無理だろう。次は出来れば、同じ肩を並べて語り合えるような、同期が、戦友がいる職場で働きたいと思う今日この頃。
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