令和でも拭えなかった、男が苗字を変えることへの抵抗感と戦って
初めてかがみよかがみでエッセイを投稿してから5年が過ぎたことに驚いた。
当時25歳だった私は30歳になり、2年前に父親が亡くなり、実家暮らしから家を出て、今月結婚した。5年という月日はあっという間に過ぎ去り、着実に私という人生歴を刻んでいた。
夫とは4年の交際、3年の同棲を経て結婚に至った。以前こちらのエッセイでも紹介させてもらった、バツイチ子持ちの彼だ。当時は事実婚を選ぶつもりだった。
でも夫の結婚へのこだわりや、義両親の事実婚への反対が強く、事実婚(パートナーシップ宣言)をすることは保留になったまま、同棲生活を続けることになった。
籍を入れないことで生じる問題を受け入れることができないそうだ。例えば入院したときの面会制限、子どもが産まれたとき、彼と私と子どもは苗字が異なること。
確かに、事実婚はまだまだ浸透していないように感じる。それはそれで課題は山積みなようにも思えた。
そうは言っても私も結婚する覚悟が決まらず将来どうしようかと悩んでいた。でも月日の流れとともに状況も変わり、結婚ありかもと思えるようになったのだ。
結婚に踏み切れた大きな理由は、前妻の再婚と養子縁組だった。養育費と面会がなくなり、私の親も渋々納得してくれるようになった。相続問題は引き続きあるが、そこは将来遺言書と弁護士に頼りたい。
晴れて結婚することになったが、今度は苗字をどっちにするかで揉めた。私は自分の苗字を譲りたくない。夫は私の苗字でもいいと言ってくれたが、義母の説得がなかなか困難であった。夫が長男であることと、男が苗字を変えることへの抵抗感。そりゃそうだ、まだ妻の苗字を名乗っている夫婦は全体の5%程度だそうだから。
結局、夫が苗字を変えたとしても息子であることに変わりはないこと、家族として義母や義父を大切にすることを約束し、無事私の苗字で結婚した。
令和でも妻の苗字を名乗ることの大変さ、理解されないことを痛感することとなった。長男が家を継ぐという感覚もまだ抜けていないらしい。結婚したことを報告すると、必ず新しい苗字を聞かれる。改姓しなかったことを伝えると必ず珍しいですね、と言われる。
私の子どもが結婚する頃にはこの感覚もなくなり、世の中は変わっていくのだろうか。
事実婚でも法律婚でも好きな方を選べるようになれば良い。事実婚も法律婚と同じくらい浸透して、制度も整ったらもっと選択肢が広がるに違いない。苗字も妻が当然のように改姓する風潮がまだまだあるが、夫婦が好きな方を選べるようになるといい。
どんな選択をしても幸せに暮らせる未来を願っている。

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