「母親失格」。
この言葉、ママになってから何度言われたかわかりません。

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大学4年生の時に妊娠し、子連れで大学院に通い、休学せずに卒業。大学院の2年間で、結婚・出産・離婚という人生の転機を一気に経験しました。

「変わってるよね」。
これは、幼い頃からよく言われてきた言葉です。
たしかに私は、人と違う選択をしてきたと思います。
でも、それは変わっているからではなく、変わらざるを得なかったから。

誰も通ったことのない道を選んだのではなく、用意された道の方が、どうしても自分には合わなかったんです。

子どもを妊娠した時、周囲からは当たり前のようにこう言われました。
「キャリアを取るなら、母親になるのは諦めた方がいい」
「子どもを優先するなら、キャリアは一旦諦めなきゃね」

まるで人生は二者択一でしか進めないもののように。母になるか、キャリアを取るか。
そのどちらかしか選べないという風潮に、私は強い違和感を覚えました。

「どうしてどちらもはダメなんだろう?」
そう思った瞬間、私の中で答えは決まっていました。
私は、どちらも取る。
それがどんなに変わり者に見えたとしても、私は私の人生を生きる。

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卒業後、私は安定を求めて公務員になりました。だけど、次第に胸の奥にくすぶるものを感じ始めました。
「このままで本当にいいの?」

安定の中にいるのに、息苦しさを感じる。社会の期待に沿って生きているはずなのに、自分がいなくなってしまうような感覚。

そして、ある日決意しました。
「私は、私のまま生きたい」
シングルマザーですが、安定を手放して起業という道を選びました。当然、周囲からは心配と批判の声。

「安定を捨てるなんて馬鹿だよ」
はい、馬鹿かもしれません。

でも、私は「馬鹿でいい」と思いました。誰かの常識に従って自分の人生を歪めるくらいなら、笑われてもいいから、自分の信じる生き方を貫きたかった。

私が変わらなかった理由はただひとつ。「社会を変えたい」と思ったからです。

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私が子連れで大学に通ったことで、未来のどこかで「学生で妊娠したけど、進学を諦めたくない」という人が、少しでも歩きやすくなるかもしれない。

私が公務員を辞めて起業し、経済的にも精神的にも自立して生きる姿を見せることで、同じように孤独を感じているシングルマザーが「私にもできるかもしれない」と思えるかもしれない。

そうやって私ひとりの行動が誰かにとっての希望になる。それこそが、私の生きる意味だと感じました。

5年前、私はSNSで「女性がもっと自由に働ける社会にしたい」と理想を語っていました。
あのときは夢物語のように思えたその言葉が、今では現実になっています。
私は起業し、女性経営者として、たくさんの女性たちの挑戦を支える側になりました。

誰かに「無理」と言われた選択が、誰かに「できる」と思わせる力に変わっていく。その連鎖を、私は信じています。

私は変わらない。誰に何を言われても、自分の信じる生き方を貫く。
なぜなら、私が変わらなければ、社会は変わらないから。

今年ついに30歳。人生の節目を迎えますが、今後も小さな一歩を積み重ねながら、「生きやすい社会をつくる挑戦」を続けていきます。