学歴コンプがひどい私は高学歴男子と寝るのが大好きないやらしい女で、その日は東京カレンダーに出てくるような港区の住人である外資系コンサルと遊んでいた。

これはデートで奢られる時にどのように振舞っていいかわからないという話である。私は自他共に認めるフェミニストなので男女平等を掲げている。にも関わらず、男性に奢られる自分に違和感を感じるのだ。

ご飯を食べた店はハイクラスだった。弁明させてもらうと、私はお金があまりないので、「安いお店にしてください」とアピールはした。でも、一番安いコースで8000円。コースしか書いてないメニューを前にして、困った、絶対にGUのワンピで来るべきではなかったと庶民は後悔する。戸惑いと恥じらいの中、トリュフなんぞを食べる。

奢られるんだろうな、いい思いするけど申し訳ない、ご馳走さまでしたありがとうって言う前に財布出した方がいいのかわかんない、などと思っていた。気もそぞろである。

奢られたのが申し訳なくてホテルに行ったのも否めない

結局彼はその日のデートで全てのお金を出した。一応財布はチラ見せしてみたが、いいよいいよと譲らない。

この後、当然のごとく流れるように寝てしまったワンナイ野郎だったが、大金を出してもらったのが申し訳なくてホテルに行ったのも否めない。お小遣いは貰っていないがこれじゃまるでパパ活、売春だ。

そうなのだ。私は男女平等の社会を作りたいとか言いながら、女であることを利用しまくっている。そもそも外資系コンサルとか金を持ってるハイスペ男と会う時点で何かしら期待しているのは間違いなく、これは計画的な犯罪だ。いや、デートは非常に楽しかったんですけれども。

奢られるということは相手よりも立場が下だと自ら示すこと

男が金を出すのは、私が若い女だから。ワンチャン狙って抱きたいから。

若さなんて目減りする資産であるし、それを男に差し出してもただ食い尽くされる道しかないのは重々承知で、奢られるということは相手よりも立場が下だと自ら示すことだと思っている。自分の力が奪われたようにも感じる。でも、若い女の市場価値は高い、ということに今の日本ではなっていて、それを利用せずになんとする、というがめつい精神でいっぱいだ。どうせ老いたらちやほやされなくなるんだから今のうちに甘い汁をすすっておこうという算段である。非常に卑しい。

その高い店だと私が払えないから鳥貴族にしてください、と誇り高く対等になろうとする意志が私にはなかった。一方、奢られなかったらこの人にとって私は金を出す価値がないような女だったのだろうか、とも思う。女のプライドも男もプライドも、会計お願いしますと手を挙げる一瞬で交錯し、男の値踏みと女の計算が浮き彫りになる駆け引きの時間。奢り奢られ問題は非常にめんどくさい。

男女関係においては奢り奢られが力関係を表すようだと感じる

しかし、私は疑問に思う。なぜ彼らは奢りたがるのだろうか。年収が高いことを誇示するため?男のプライド?この女は自分に服従したということを実感できる快感?こんな大金を払える自分が好きなの?それとも奢るのが当然という文化に倣っているの?

ここで提案がある。お前が言うな、と大合唱をバックに聞きながらも、その文化そろそろやめない?と声をあげたい。男性も生きやすくなる気がする。お金がなくてもデート代は払わなければ男じゃない、とプレッシャーを感じている人もいるはずだ。お金はある方が払えばいいとは思うけど、男女関係においては奢り奢られが力関係を表すようだと感じる。うがった見方だろうか。

実はあわびも気になったのは本当だけれど、トリュフも和牛も自分でお金を払って食べるのが最高だ、と笑って言い切れるかっこいい女になりたい。自分の中の矛盾と違和感を忘れないように、今度はサイゼリアを提案しようと思う。ちょっと極端だけれどもそれくらいの心意気だ。人は自らの行動の中で自らを定義するのだから。夜中にコンビニまでアイスを買いに行くような、等身大の恋ができるように頑張る所存である。

ペンネーム:滝薫

元美容ライターの人生模索中ニートみたいなライター。最近は短歌詠みながら焦ってます。学生時代はすっぴんで三限に遅刻する自堕落さだったが、最終的には口紅コレクションが40本を超えるくらいの美容オタクになりました。

Twitter:@Hannahkuku0819