「貞淑であれ」は呪いの言葉。経験人数が多くても、体も心も汚れません
知性と品にあふれる筆致でありながら、「ちんぽこ ぽこ美」というペンネーム! なぜこんな「ふざけた名前」(本人)を名乗るのか。その答えは「若い時はこんな下品なことを言っちゃいけない、こうあるべきだと自分を縛ってきた。でも、年齢や経験を重ね、やっとその呪いがとけてきた。ぽこ美を名乗れることが、私にとっての自由の象徴」と話します。この連載では、ぽこ美さんがこれまでにかけられた、社会や自身による呪いを振り返りながら、いかにしてぽこ美という名の自由を手にしたのかをお話していきます。「こうあるべき」に苦しむ方たちの呪いをとくヒントがあるはず!
女性として性を受けて育ったものであれば、幼少のころより親からも、そうでない大人にも言われ続けてきた呪いの言葉があるのではないかと思う。
それは「貞淑でいなさい。自分を大切にしなさい」という言葉だ。
つまり簡単に言うならば“女だったら身持ちを固くしろ・誰とでも寝るな・自分から誘うようなことはするな”ということである。
この呪いの言葉は驚くことに年齢に関係なく30代半ばになった今でもよく耳にするのである。しかも他人に向けられたものでもなく自分自身に向けて。
若いころは特に「夜遊びはするな、男遊びはするな、男好きはアバズレだから」と、よく言われていた。
その結果、ワタクシは学生時代に出会った男性と10年以上付き合った結果、2年で離婚し、今はTwitterで、“ちんぽこ ぽこ美”などというふざけた名前を名乗り日々「ちんこ!ちんこ!!」と言っているわけである。おかしいですね、全然呪いの言葉が活かされていない……。
多少嫌なことがあっても一人の男性と長く付き合うべきなのだと思っていた
学生時代の私は色んな男性と付き合ってみることはダメだと思っていた。
理由はひとつ、母親にもそう言われていたし、なにより世間でも女性が恋愛経験豊富であることは「恥ずかしい」ことだと言われているから。
自分なりの貞淑として、多少嫌なことがあっても一人の男性と長く付き合うべきなのだと思っていた。そして長く付き合った人と結婚しなければならないと思っていた。
他の人と比べなければ多少おかしいな。と思う点があっても、それが普通だと思ってしまう。ただの恋愛版「井の中の蛙」である。
結果、呪いの言葉のとおり一人の男性と長く付き合って、結婚してみたけれど色々積もり積もって結婚生活は短期間で終了した。今思うと他の男性とも付き合って色々知っていたら最初から結婚しなかったかも知れない。むしろ他の男性より良いのでは?と思って婚姻生活が続いていたかも知れない。どちらかが悪いとかではなく単に勉強不足だったと思う。
大人になって気づくのは長いこと「貞淑でないといけない」という思い込みから、自分は貞淑を選択しているのではなく選択させられていたのだということである。
セックスしたいと思う人とセックスすることの何がいけないのか
当たり前のように言われてきたこの「呪い」の言葉だが、そもそもなぜ女性は貞淑でないといけないのか。自分を大切にするということはわかる。でも貞淑でいることが大切にしているということとイコールなのだろうか。
確かに誘われるがままに、何も選択することなく簡単に誰とでも寝てしまったら暴力や犯罪行為、性病、望まない妊娠などのリスクがある。
それはわかるけど自分が良いなと思う人、セックスしたいと思う人とセックスすることの何がいけないのか。
自分が「したい、こうありたい」と思う自分の気持ちを大切にすることこそが自分を大切にしていることの一つであると今では思える。
気持ちを押し殺して、こうあるべきだからと抑圧することは自分自身を虐待していることと変わらない。
自分の意志で選んでいることなら後悔だってしないはずだ。
なぜ女性であると選ばれる側で抱かれる側なのだろうか!?
実際自分は若いときに恋愛経験を積まなかったことのほうが後悔している。大人になったらなかなか純粋な恋愛経験って積めないからね。
そういう前提で考えると貞淑でなくてはいけないということは、貞淑でないと選ばれない、はしたないと思われるという思い込みなのではと思う。
処女にしか興味を示すことのできない男性と貞淑を無理に刷り込まれてきた女性たちの「もっとモテた時期に遊んでおけば良かったァ」という社会におけるステマのようなもんだ。
処女信仰のロリコン男性なんかこちらから願い下げだし、こっちだって選ぶ権利あるんだけど?と言いたい。
なぜ女性であると選ばれる側で抱かれる側なのだろうか!?
「~は、~を抱いたらしいよ。」「~って~に抱かれてるって噂」というような、さも女性にセックスの選択権がないように話されてるのを聞くたびに違和感がある。
いやいやいや、こっちが選択してヤってもいいと思ったからヤっただけであって、おめぇに選んでもらったわけじゃねぇから!こっちが抱いてやったんだわ!と言ってやりたい。
肉食女子であることが恥ずかしい?わけないでしょ
自分も割といい年になったのでわかることがたくさんあるが、とりあえず、何人と付き合っても、経験人数が多くても、体も心も汚れたりしないし価値は変わらないので自分の選択にもっと自信を持ってほしい。
経験人数が多いことを揶揄する人は世の中に多いけれど、それは若いときに自分の気持ちを押し殺してしまった結果、「こうあるべきだ、自分もそうだったのだから」という老人の嘆きなので気にしないでほしい。
そして残念なことなのか、良いことなのかわからないけれど、セックスしなかったからと言って締まりが良くなるものでもないし、色もピンクにはならないよ!!!!こればっかりは個体差なので(笑)
最後に……
「すごい肉食女子ですよね?恥ずかしくないんですか?」って聞かれることがあるが自分からしたら、そんなことより仕事でミスばっかりとか、鼻毛出ているとかのほうが断然恥ずかしい。
それにモテないよりモテたほうが良いんじゃないかな~。人に好かれないより好かれたほうが良いし。
なので自分の残りの人生は呪いに負けず自分の意志で選択して生きていきたいと思う。
illustration :aketarasirome
この記事を書いた人
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ぽこ美
東京都出身。外資系企業勤務、プロ会社員を目指すバツイチ子持ち35歳。趣味は飲酒と相撲観戦。熱烈な豪栄道(現武隈親方)ファン。好きなものは酒とイケメンと北極ラーメン。
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この連載について
いかにして私はぽこ美になったのか
知性と品にあふれる筆致でありながら、「ちんぽこ ぽこ美」というペンネーム! なぜこんな「ふざけた名前」(本人)を名乗るのか。その答えは「若い時はこんな下品なことを言っちゃいけない、こうあるべきだと自分を縛ってきた。でも、年齢や経験を重ね、やっとその呪いがとけてきた。ぽこ美を名乗れることが、私にとっての自由の象徴」と話します。この連載では、ぽこ美さんがこれまでにかけられた、社会や自身による呪いを振り返りながら、いかにしてぽこ美という名の自由を手にしたのかをお話していきます。「こうあるべき」に苦しむ方たちの呪いをとくヒントがあるはず!
illustration :aketara shirome
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