たくさんのご応募ありがとうございました。

卒業の時期に合わせて募集した「わたしの卒業」では、高校や大学の卒業といったエッセイはもちろん、過去の自分からの卒業、片思いからの卒業など、さまざまなエッセイが集まりました。 

それでは、かがみすと賞を発表していきましょう!

かがみすと賞

◆不登校だった私。一歩踏み出した卒業式は、私と彼女の希望になった(しなのすけ)

小学生のときに不登校になったしなのすけさんが、勇気を出して卒業式に出席したお話。自分を鼓舞し、一歩踏み出す姿にこちらも勇気付けられます。

いよいよ卒業シーズンになり、焦燥感がひしひしと現れ胸が張り裂けそうになった。「このままではいけない」と思いながらも行動に移せない弱い自分を責めた。時間が過ぎていくのが早く感じて、ますます不安になった。

学校に行きたいけど行けない、そんな自分の中での焦りや葛藤が丁寧に書かれていて、当時の心境が手に取るように伝わってきます。

さらに、卒業式に行くという行動は名も知らない女の子にも影響を与えました。当時五年生だった不登校の女の子が、卒業式でのしなのすけさんの姿を見て変わっていったそう。

最初は”誰かの為"ではなく"自分の為"だと思って、出した決断が後々、相手の希望になったりその人の未来を変えることがあるということ。さらに勇気を出した行動が誰かの夢や目標になり、心を突き動かす原動力に繋がると気づいた。

この卒業式は、二人にとって、きっと忘れられない出来事になったのでしょう。
しなのすけさんの行動が、全く別の人に勇気を与えたことに感動しました。

編集部選

◆第1志望ではなかった。けれど他にない出会いに満ちた4年間だった水無月初香

第一志望の大学に入れず落ち込んでいる人たちに、ぜひ読んでもらいたいエッセイです。水無月初香さんは、滑り止めの滑り止めだった大学に通うことになりますが、そこで出会った学問やかけがえのない友達との4年間を振り返っています。

4年前、希望していた道へ進むことはできなかったけれど、思いがけず進むことになった道には、かけがえのない出会いがたくさん待っていた。

結局のところ、偏差値とかネームバリューとか、そういう「どこへ進むか」よりも、そこで「どう進むか」「誰と進むか」が大事なのだと気づかされた4年間だった。

文章の端々から、とても充実した4年間を過ごされたことが伝わってきます。SNSでも、同じような経験をした人から共感の声が上がっていました。

また、全体的に文章の構成が整理されていて、とても読みやすかったです。

就職する企業は第一志望だったところではないし、もしかしたら今後も希望する道を歩めないことは多々あるだろう。 でも、たぶん私の人生はなんだかんだで楽しくなると思っている。 どんな道を歩もうと、そこでしか巡り会えない素敵な出会いがあることを、大学で学んだから。

前向きになれる文章で締めくくられているところも、とても素敵。大学だけでなく、就職や今後のさまざまな人生の選択で希望通りにいかなかったとき、何度も読み返したくなるエッセイです。

◆初恋の先生の子どもを担任して、初恋を終わらせることを選んだ(あさ)

卒業×恋愛の、なんともドラマチックなお話です。教え子から卒業文集のコメントを求める手紙が届いたことをフックに、初恋の人の子供を担任した話へと展開している構成もお見事!

N先生は学校の活動にとても積極的で、授業参観や行事に必ず顔を出してくれた。そのたびに話しかけてくれるのが嬉しくて、「今日はN先生が来るかもしれない」という日はメイクも服装も少しだけ気合を入れて臨んでいた。

過去に好きだった人と再会したら、ちょっとは気合い入れていっちゃいますよね。N先生に対する気持ちが滲み出ていて素敵です。

しかしその後、離婚したN先生から食事の誘いを受けたあささんは「ありがとうございます。でも、最近忙しいのでまた機会があれば」と断ります。

ここで「ぜひお願いします。いつにします?」と言えば、またあの日のように、もしかしたらそれ以上にN先生と親しくなれたかもしれない。(中略)世間の目、教員としての評判、幸せな家庭を築きたいという夢…私には、N先生以上に失いたくないものがはるかに多くなっていたのだ。

あささんの大人な対応が読んでいて気持ちがいい!私だったら悩みながらも食事に行っちゃうかも…と思った自分を恥じました。

◆卒業します。誰からも好かれたい、そんな私から(りあ)

最初は一緒に仕事をするのだから、仲良くなろうと頑張った。ランチに誘ったり、なにかと声をかけたり。でも、ランチは終始誰かの悪口だったし、声をかけるたび「その服より一層太って見えるよ」などと、心ない言葉を浴びせられた。そうしていくうちにどんどん疲弊していった。

こういう人、いるいる!と共感しながら読みました。でもこちらが頑張るだけ損というか、結局自分が疲れちゃいますよね。きっと似たような経験がある人も多いのでは。

そんな悩むりあさんに対して、先輩がかけてくれた言葉がとても参考になります。

みんなに好かれようとする必要もないし、必要以上に嫌う必要もない。相手を嫌わなくていい距離まで、そっと離れてみたら

社会人になって、いろんな人と関わるうえで大事なことですよね。自分にも言い聞かせながら読みました。

私は、みんなに好かれたいという思いから卒業する。嫌いな人に好かれようと思って時間を割くくらいだったら、好きな人のために時間を使いたい。

読後感もスッキリしていて、前向きになれます。人間関係に悩んでいる人に読んでもらいたいエッセイです。

以上、わたしの卒業、かがみすと賞&編集部選の発表でした!
たくさんのすてきなエッセイを、本当にありがとうございました。

現在は2つのテーマでも募集しております!

・次会うときは 5/17締め切り
・半袖といっしょに 6/7締め切り