「うわぁまじかよ、誘ってきた・・・」

オンライン飲み会なんてくそくらえ、その時私はそう思った。

私がオンライン飲み会を楽しめるのは、気の許せる友人だけ

外出自粛期間に突入して約1ヶ月が経とうとしている。気づけば仲良くしている友達と毎週金曜日の夜にオンライン飲み会をすることが恒例行事になっていた。

オンライン飲み会、それはケータイやパソコンの画面上で飲み会を一緒に楽しむオンライン行事。実際に目の前にいるような感覚で楽しめる飲み会だ。自宅からでも気軽に参加できるので、この自粛期間に経験したことがある人も多いだろう。

正直に言おう、私はオンライン飲み会が得意ではない。

人と話すことや電話はとても好きなのに、どうしてもオンライン飲み会だけは苦手意識がある。大して親しくない人とでも、オフラインの対面ならいくらでも話せるのに、オンラインとなると話は別。私がオンライン飲み会を楽しめるのは、毎週金曜日にオンライン飲み会をするような、気の許せる友人だけだ。

オンラインでの対面は、直接対面するオフラインよりもストレスに感じる。なぜなら、オンラインだと細かな表情の動きや雰囲気を読み取ることが難しいから。気のおけない友人ならともかく、普段からあまり親しくしていない人ならなおさらそうだ。

飲み会を断る言い訳が通用しない

「ねぇ、暇なとき教えて?ふたりでオンライン飲み会しよ?」

ある日、大して親しくない知人からLINEが届いた。自粛期間中に人恋寂しくなったからだろうか、普段はあまり連絡を取らない彼女から頻繁にオンライン飲み会の誘いがくるようになる。対面でも盛大に気を遣う相手なのに、オンライン飲み会ならさらに気を遣うことは目に見えていた。

「うわぁまじかよ、誘ってきた・・・」

心の声が思わず口に出る。親しい友人とは楽しいことしかないオンライン飲み会も、この時ばかりは「オンライン飲み会なんてくそくらえ」と思ってしまった。

とはいえ、オンライン飲み会の誘いを断るにも断りにくい。完全在宅だからこそ、いつもなら通用する言い訳が通用しない。「今日は早く家に帰らなきゃいけないから」は、もちろんだめ。「時間がない」もナンセンス。「体調が悪くなった」という理由も、時期が時期なだけに言いにくい。コロナ?と過剰に心配されてしまったら後々面倒。

ならば不可抗力を言い訳にしたらどうかと考えた。自分の力ではどうにもならないことを理由にしてしえば、さすがに納得してもらえると思ったのだ。

「Wi-Fiの調子悪いんだよね」「そもそもオンライン飲み会苦手なんだよね」という、あなたが理由で断ってるんじゃないのよ、というメッセージを込めた断り方を考えてみた。我ながら名案じゃないか!思いついた自分を褒めようとした。

だが、気づいてしまった。厄介なことに、すでにSNSには「オンライン飲み会楽しかった!」と投稿済み。誘ってきた人も見てしまっただろう。これでは言い訳がウソだと筒抜けになってしまう。

これこそ真の八方塞がり。

もう、正直に言って断ることにした。「ごめんね、今はそういう気分じゃないから今回は遠慮しておくね」、と誘いのLINEに返事。色々言い訳を考えるのはやめた。最初からそう言えばよかったのだ。ふぅっと全身の力が抜けたのを覚えている。

私は繋がる人を選んでしまう

オンラインは、私の感情を顕著にした。

オンラインは便利だ。いつでも、どこでも、気軽に繋がれる。どこにも行けない、時間も有り余っている、そして何よりも人との繋がりに飢えている。そんな人が多いからこそ、オンライン飲み会が流行っているのだろう。

でも私は誰とでも繋がりたいわけじゃない。

それは現実世界でも一緒だろう。オンラインだろうが、オフラインだろうが、結局本質は変わらない。時間が無限に与えられたところで、きっと私は繋がる人を選んでしまう。だって、どんなに暇でも私の時間が大切であることに変わりはない。私の時間くらい、誰と関わるかなんて好きにしたっていいはずだから。