まさか、こんなことになってしまうとは。
男女の友情は成立しない、でも私は例外。
男友達と寝てしまった。確かに失恋でむしゃくしゃしてたし、男性の家に一人で行ったわけだし、そうなってもおかしくない状況は完全に整っていた。
でも、まさか本当に寝てしまうとは。私はそう、舐めていたのだ。相手に対しても、自分に対しても。
私と奴は、とても仲が良かった。ちなみに、奴の元カノは私の仲良い友達だ。しかも二人も。
元カノ含め、私と奴は同じ大学のコミュニティに属していた。元カノと付き合っていた時も、奴とは気が合ったのでよく二人でご飯とかカラオケとかに行っていた。元カノが私を敵視しなかったのは、私に対して信頼があったのがあるのかもしれないけど、なんというか、一切私も奴もお互いに興味がないことが一目瞭然だったからだ。
私は恋愛体質なので、恋した相手以外には一切興味がない。そして、もともと男友達がものすごく多く、男三人と私でドライブに行こうが、ビッチとか言われることもなく、まありあならありえるよね、で片付けられるくらいには男勝りだった。
昔母に、「あんたは男と女っていうより同志って感じがするからねえ」と言われて、妙にしっくりきたのを覚えている。男女の友情は成立しない、でも私は例外。そう本気で思っていた。
万に一つもないことって、億に一つくらいはあるのかもね
自分で言うのもなんだけど、ここまで男と仲が良くて女から妬まれないのも珍しいと思う。きっと女として同じ土俵に立っていなかったのかもしれないけど、特に私にとって問題ないのでそれはそれでよかった。
私からしたら、世界を分けるとしたら私が恋している相手かそれ以外かなので、女友達も男友達も一緒だし、なんなら男友達の方が気を使わなくていいので楽だった。さばさばしてたんだと思う。
まあそんな感じでやってきたので、まさか奴と寝てしまうとは思わなかった。
奴とは、社会人になってからも、住んでいる場所が一駅違いで、仕事の職種も似ていたため、たまに会って近況報告したり、カラオケに行ったりしていた。
家に行く流れになったのは、奴が家にいいお酒があると言っていたから。もしそうなったらどうしよう、とは正直1mmも思わなかった。たぶん無意識下で、男のうちに一人で行く → そうなってもおかしくない → でも奴と私 → 万に一つもありえない、で片付いたのだと思う。今までも男友達の家に行くことはなんどもあったし、サシ飲みもしていたし。
まあ結果寝てしまったんですけれどもね。万に一つもないことって、億に一つくらいはあるのかもね。
男女の友情って、いつの時代の話をしているの?
結論どうだったかというと、全くもってなんの感情も湧かなかった。行為中はたぶん気持ちがよかったのだろうけど、どこか現実味がなかったというか。
私は好きな人との行為はとても幸せになるので好きだし、終わった後の余韻を楽しむのも大好きなのだけれど、今回は終わってすぐに「シャワー浴びてくる」とベットから離れた。「えー一緒に浴びようよ」という奴の声に、「絶対ヤダ」と答えて、さっさとお風呂場に移動した。
好きの反対は無関心、というけれど。本当に後悔すら感じないとは。
心底なんとも思わない自分にびっくりした。
多分奴とは、これからも普通に遊ぶんだと思う。寝るか寝らないかは、わからない。そうなった時はそうなった時だ。
男女の友情は、やっぱり成立しないみたい。というか、同性同士で恋愛が発生する現代で、性別限らず恋愛対象とか性的対象にならない人はいないんじゃないんだろうか。男女、って区切り自体が時代遅れだよ。
私を唯一、主語がその人だからというだけで、心を乱せる相手を、大切にしていけばいいだけなんだろう。