私は女子校で学んできたためか、それなりに強気で中高生時代を過ごしてきた。
やるべきでないことや嫌なことは、はっきりNOと伝えられる環境でもあった。
そんな環境で育った私も大学に入り、運動系サークルに所属した。2年生の終わり頃、4年生の先輩を送り出す追いコンがあった。
年を重ねたのなら、他に価値などないからお酒の量でカバーしろ?
男女の大学生となれば、また独特の世界がある。
華の1女、嫉妬の2女、諦めの3女、悟りの4女といった言葉をご存知だろうか。大学生であれば一度は耳にしたことがあるであろう。
1女以外には価値などないというような、男性達の共通認識を端的にまとめたかのような言葉である。
しかし、男子学生に当てはまるそのような言葉は聞いたことがない。
そんな言葉が存在する学生界隈の飲みの席において、お酒がそこまで得意でない私に、男性の先輩から浴びせられた「もう3女になっちゃうんだからさ、1杯くらいで酒飲んだって言わないのわかってるよね?」という言葉。
年を重ねたのであれば、他に価値などないのだからお酒の量でカバーしろとでもいうような、私が女性だからこそ浴びせられたような理不尽なその言葉。
しかし、当時の私はそんな言葉にNOとは言えずにビールを飲み干してしまった。
段々とその状況を見かねて、「私が飲むから大丈夫だよ」と代わりに飲んでくれた友達が潰れてしまう始末。
NOというたった一言が言えなかった。
輪を乱す空気が読めないやつというレッテルを貼られたくない
なぜ私はその一言が言えなかったのか。それは、自分の保身のためだ。そして、存在しているだけで男性達に喜ばれる可愛い後輩をよそに、私の価値も見出してもらいたかったのだ。
特に、若い年代においては、その場のノリと空気、それ自体が有無を言わさず正解である。
逸脱すれば、居場所はない。
空気の読めないやつ。
当たり障りなくその場をやり過ごせるように、輪を乱す空気が読めないやつというレッテルを貼られないために自分を保身したのだ。
その結果、自分のみならず友達にも情けない思いをさせたのである。
若さやお酒の量にしか人の価値を見出せないやつに好かれたところでどうするんだと、今となれば冷静に考えられる。
しかし、実際にその場にいて、その空気感であればNOとは言えなかった。
NOと言ってもその意思を尊重してくれる人を大切にすればいい
NOとは言えなかったけど、その当時の自分にはよくやったと言ってあげたい。その経験から、人付き合いにおける大切な価値観を見つけられた。私の表面的な事実にしか興味のない人など、自分自身には必要ないことがわかったから。
嫌な時はNOと言えばいい。ただ自分のわがままだけのNOはダメだ。それは単なる自己中心的な考えに基づくただのわがままだから。しかし、理不尽な状況に追いやられた際は、はっきりNOと言っていいのである。自分自身にしか感じられない感情や身体を守ることができるのは、他でもなく自分しかいないから。仮に、無理にYESと言ったところでそれは生産性のないくだらないものしか生み出さない。
そんなくだらないことや人に付き合っている暇はない。NOと言ってもその意思を尊重してくれる人を大切にすればいい。わかってくれる人が必ずいるとは言わないが、何かしら多少なりとも通ずる人とは必ず出会えるはずだ。
そして、女性だから男性だからNOと言ってはいけないルールなんてどこにもない。嫌という感情や理不尽という状況に性別など一切関係ないのだから。
しかし、もしあなたが私と同じような状況でNOと言えなかったとしても自分自身を悲観しないで欲しい。それはあなたの意志の弱さだけが問題なのではない。あなたがNOと言えない状況や背景が大きな問題でもあると思う。
たかが21歳。されど21歳。そんなもの、単なる数字にしか過ぎない。