高校3年生のとき、人から見られる私と、本当の私の間に差があると思い込み、食事がうまくできなくなった。

始まりは高校2年生の夏だった。夏休みにダイエットに成功した私は、夏休み明けに学校に行くと友達に痩せたねとたくさん褒められた。
元々見た目へのこだわりや美容に対する意識は高く、周りもそれを知っている友達が多かったため、私は"ダイエットキャラ"になった。
学校での昼食はリンゴとサラダ、おかずを少しだけ。お菓子を食べるなんて言語道断!という学校生活を送っていた。
しかし、本当の私は食べることが大好きで甘いお菓子も油っぽいスナックも大好き。

「お腹空いた」の一言さえ言えない"ダイエットキャラ"

ある日、私は友達にもらった1枚のポテトチップスを教室で食べていた。
すると、「え!あやのでもお菓子食べるんだ!」と非常に驚かれたのを覚えている。もちろんそう発言した友達に悪意がないことは十分承知している。
しかしそのとき私は"ダイエットキャラ"を崩壊させてはいけない、学校で食べる姿を見せてはいけないんだと更に強く思うようになったのである。

それから高校3年生の1年間は大変だった。行事の打ち上げの食事会に参加できない。修学旅行の食事はみんなに背を向けた席でないと食べられない。調理実習で作ったものを食べる時間に震えが止まらず保健室に避難する。「お腹空いた」の一言さえ言うのが憚られた。

本当は友達と美味しく楽しく食事をしたいのに、そのときの私は友達に食べている姿を見せてはいけないと頑なになっていた。そして、誰よりも痩せていなければならないということにこだわり、過剰にダイエットをしていた。

自分らしく生きる。私が私を好きでいられるために。

今の私ならわかる。それは、自分らしさを殺して自分が作り上げた嘘の自分であること。友達も誰も私を"ダイエットキャラ"の型にはめ込もうなんてしていなかったことが。

このように理解できるようになるまで、かなりの時間がかかった。私は"ダイエットキャラ"の呪縛から抜け出すために2つのことを実践した。
1つが、"ダイエットキャラ"なんて元々いなかったんだ、私らしく私が好きなように生きようと思考を直す練習をしたこと。

もう1つは、見た目に関すること以外に時間を使うようにしたこと。私は映画を見ることと歌を歌うことが好きだった。そのため、見た目のことで悩みそうになったときは歌を歌い、映画を見て気をそらすことにした。また、痩せていること以外の部分で自分を好きになれるように、勉強にも力を入れた。私はこの2つを意識し続けた。

そして私は今、社会人になった。歳を重ねるごとに、"ダイエットキャラ"の呪縛はとけて、自分らしく生きられるようになった。
学生時代の友達も見ているInstagramでは美味しかったスイーツを載せられるようになった。お腹空いたとも言えるし、友達とも何も気にせず楽しく食事ができるようになった。

"ダイエットキャラ"の呪縛で悩んでいた学生時代の私に、いつかそんなことは気にならなくなる日が来るさと言ってあげたい。

そして、これから先も私が私を好きでいられるように私らしく生きていきたい。