「自分の命よりも大切なものって本当にあるんだ」
そう思った。
つい先日、私のお腹の中に新しいいのちが芽生えたのだ。「いつか子供が欲しいね」と言い合っていた私たち夫婦に突如訪れた奇跡。
妊活をしていたものの、何気なく自宅で妊娠検査薬を試した時は本当にびっくりした。何せたったの1周期で私たち夫婦のところにきてくれたのだから。
赤ちゃんとはじめて会った日、私は「この子を守る」と決めた
そこからはもう、初診までドキドキ。
「子宮外妊娠とかしてないかな」
「化学流産とかしてないかな」
「胎嚢が見えなかったらどうしよう」
医療系の大学に通い、そこそこ知識があった私は、そんな不安を抱えていた。
そして、ついに迎えた初診の日。
少し緊張しながら夫と近くの産科に向かう。待合室にはちらほら妊婦さんがいた。未来の自分の姿かと思うと、なんだかワクワクする。問診票を書き、採尿をし、診察室に入った。
軽く問診を受けたら、いよいよエコー。
映し出されたエコー画像には、小さな小さな影があった。まだ人の形もしていない、米粒くらいのいのち。これが、私と赤ちゃんのはじめましてになる。
「いい位置に着床していますね。右も左も卵巣がきれいです。心拍はまだ確認できませんが、生理周期が30日前後ですので問題ありません。心配しなくて大丈夫ですよ」
医者という専門家に言われる安心感といったらない。ひとまずほっとした。
妊娠検査薬の判定だけじゃなく、こうしてエコー画像を見ると「ママになるんだ」という実感が湧く。同時に、世界で一番愛している人との赤ちゃんが私のお腹にいると思うと涙が出てきた。
この小さな小さな影が、約10ヶ月の間に成長していくかと思うと人の身体は本当にすごい。
もう自分だけの身体じゃないのだと、この時初めて思った。そして、この子は私が守るんだという気持ちが芽生えた。
つわりで辛いけど、「誰かと一緒に生きてる」って思うと頑張れる
正直、今はつわりで辛い時期だ。お腹が空くと気持ち悪いし、だからといって食べると吐いてしまう。電車にも乗れない。それでも、お腹の子が生きている証だと思うと愛しさすら覚えるし、頑張ろうと思う。
親は、偉大だ。この子ができて、そんな当たり前のことに気づいた。
「今は何よりお腹の子のことを考えるんやで」
そう言って夫は、家事もまともにできない私に代わって、掃除や洗濯、料理をしてくれている。ちなみに夫の作るご飯は本当に美味しい。葉酸が豊富な食材を調べるなど、栄養バランスも考えているようだ。
誰かと生きるっていいなと、改めて感じたし、彼はこれからもこんな風に私や子供を愛してくれるんだと思った。
自分のいのちより大切なもの。それは世界で一番好きなあなたとの子供
「自分のいのちよりも大切なもの」は本当にあった。
いのちは、愛しい。そして尊い。
私たちのところにきてくれて、本当にありがとう。貴方は私たちの、一生のたからものだ。