1日1錠、ワンシート28錠、だいたい3,000円弱。
『低用量ピル』。それが、私の生活に欠かせない薬だ。
私の痛みは、自分にしかわからない
なぜ、女には生理があるんだろう。
生理の程度は人それぞれで、私の程度は他人にはわかってもらえないし、他人の程度は私にはわからない。ただ一つ言いたいのは「私にとっては、生理はめちゃくちゃツライ」ということだ。
私の場合、生理3~5日前に起こるPMS(月経前症候群)による寒気や発熱から始まり、生理中は起き上がるのも辛い程の腹痛・腰痛。また、生理用品によるかぶれやムレだって気になるし、気分は最悪。私は生理不順なので、周期も2週間から2か月とバラバラで、いつ生理が来るのかわからない。そんな状態があと20年以上も続く。たまったもんじゃない。
学生時代は、生理痛がひどくて保健室に行くと「そんなんじゃ社会でやっていけないよ」と怒られた。「私はもっとひどい症状なのに頑張っている」と言う人もいた。総じて思う、「知らんがな」。私の痛みは、私にしかわからないはずなのに。
周期が整い、痛みも軽減された。低用量ピルなしの生活は考えられない
だから、自分で使えるお金ができたら、必ずピルを飲もうと決めていた。
その決意通り、大学生でバイトを始めてからは、婦人科で1日1錠、ワンシート28錠、だいたい3,000円弱の『低用量ピル』を毎月処方してもらっている。きっちり28日周期で来る生理とだいぶ軽減された生理痛に、私は、3,000円以上の価値を感じている。低用量ピルを使い始めて、もう7年ほどになるだろうか。私は、もうピルなしの生活は考えられない。
特におおやけにしているわけではないが、きっかけがあってピルを飲んでいることを伝えると、同年代の女性からは大概前向きな目線が返ってくる。「どういう薬、飲んでるの?」と情報交換に発展することもある。だが、前向きな意見だけではもちろんないようだ。少し上の世代の女性には「薬じゃなくて生活習慣で整えなさい」と言われたこともある。
さらに残酷なのは、少し仲良くなった男性からの目線だ。
ピルはそのシート形状から、一目で低用量ピルとわかりやすい。随分昔に、男友達にたまたまピルを服用しているところを見られたことがあった。「いやらしい(笑)」と不敵な笑みを浮かべて、全身を舐めるように見られたとき「この人との友情関係はなんだったのか」と思ってしまった。
もしかしたら、私が無意識に思わせぶりな態度をとっていたのかもしれない。だが、よい男友達だと思っていた相手から向けられる性的な目は、私には耐えがたくその男友達とは縁を切った。
これだけは言わせて!「低用量ピル」は、甘えや淫らなことじゃない
誤解しないでほしい。私が飲んでいる1日1錠、ワンシート28錠、だいたい3,000円弱の『低用量ピル』という薬は、甘えでもなく、避妊具を要しない快楽を求めているわけでもなく、自分の生活をほんの少し快適にするための薬だ。その快適さが3,000円弱で買えるなら、私はこの先もその金額を払っていく。
あらゆる視線と戦いながら、私は今日も低用量ピルを飲んで日常を生き抜いている。