私は現在、生まれた街にそのまま住んでいる。そのため、ここが地元だ。
大学進学のため一旦離れたが、就職して戻ってきた。
都会で就職したかったけど、自分の信念を曲げずに地元で就職した
本当は都会に就職しようと思っていたが、なぜ戻ってきたのか。それには、自分の“こうあるべき”という性格が関係している。
“社会人たるもの、自分のことは全て自分でやるべき”という信念だ。
本当は都会で就職して、休日におしゃれなカフェに行ったり、買い物したり、仕事帰りに美味しいものを食べたりしたかった。イベントなども参加してみたいと思っていた。
しかし、その土地で生活するにあたってのルールや土地勘がないため、仕事にだけ集中していればよいというような日々にはならないと考え、地元に戻った。家族とは暮らせないので、一人で暮らしている。
コロナによる自粛を経験して「地元」に対する考え方が変わった
「いつかは都会で暮らしたい」今の職場から離れることになったら、そんな風に考えてはいるが、この中途半端な地元でよかったと感じた出来事があった。
それが、今回のコロナウイルスである。
私が暮らしている街は、トータルの発症者は10人程度だ。観光地もあるが、基本的にインバウンドのアジア圏の観光客が多いため、入国制限されてからそもそもウィルスが持ち込まれない。
また、観光地が限られているため、早々に緊急事態宣言が出されたところ、観光客が減ったことで他所からウィルスが持ち込まれにくくなった。
都会なら通勤のために県を跨いだ移動もあったろうが、この地域では私が住みたいと思う都会に行くだけで3時間かかる。また、市内の職場に通勤するだけで30分かかる場所だ。
そして、中途半端な田舎だからこそであるが、少し都心部を出ればあとはひたすら緑が広がっている。
都会に憧れていたけど、「地元のよいところ」を見つけた!
コロナウィルスの感染を防ぐため、みんな自宅から出られず、気分転換ができないとネットで記事を読むたびに「誰にも会わない場所に気軽に行ける地元は、よいところなのではないか」と思い始めた。
行くところがないので、密になりやすい場所が誰でもわかる。そこを避ければよいと、子どもでもわかっている。きっと私にはわからないほど、利益が低下して苦しいお店も多いだろうが、制限する場所が少なかったためか閉店情報などは、私が住みたいと思った地域に比べて少ない。
ときどき都会に就職した友人を羨ましく思うときもある。毎月のように旅行していたり、イベントに参加していたり。でも、この状況じゃ、むしろ閉じ込められていてかわいそうに思う。
私の地元は、中途半端な都会で田舎だ。だからこそ、お互いの距離を保ちやすくてよいのかなと感じている。