結婚に焦る記事はたくさんある。
「どうしたらモテる」「どういう人がいい」とか。合コンや婚活イベントがあって、電車にはマッチングアプリの宣伝が吊られている。

反対に「結婚したくない」って話には、なかなか巡り合わない。あったとしても、たいていは他に何かしらの問題を抱えているから、“今は”したくないという文章だ。

私の人生設計の中には、まだ「結婚」や「出産」の文字はない

結婚は、人生の中でも一大イベントらしい。20歳を過ぎて、将来を考えた時に1番に思い浮かぶのが結婚だそうだ。

中学、高校時代に志望校や職種を挙げていた友人達が、20歳の同窓会では、“いいお嫁さんになること”と目標を述べた。

結婚を遠い先の話だと思っている私は、子供っぽいのだろうか。将来の夢で思い浮かぶのは、職種や役職。「お嫁さん」と書くのは、小学校低学年くらいまでだと思っていた。そもそも、私の人生設計の中には、結婚の文字はまだ無い。

大学のサークルの仲間の中でも、話題は異性の好みの話から、少し色っぽい話、家庭を築く話へと変わっていた。「なんでみんな結婚したいの?」と聞くと、驚かれた。好きな人と結婚して、子供を産むことが幸せらしい。

私にとって旦那さんや子供は、自分の自由を奪う存在にしか感じられない。親に孫の顔を見せられないことが、少し心に引っかかる程度だ。

幸せそうな花嫁には憧れる。でも私に「結婚」は考えられない…

私だって恋愛小説にはキュンとするし、幸せそうな花嫁さんには憧れるけど、やっぱり私の人生の中に結婚は考えられない。

恋愛に興味ないスタンスを隠さずにいたら、友人に私のこれからの恋愛事情を妄想された。「自分に惚れて、家事を全部やってくれる人がいたら楽かもな」としか思えなかった。小説か漫画の読み過ぎかな?と笑うしかなかった。

彼女達にとって「結婚に興味ない」というは、私の強がりで「結婚できるよ」って励ましてくれたのかもしれない。確かに彼氏はいないけど、無理につくる努力をする気もないし、「そりゃそうだよな」としか思えない。

結婚願望が持てないのは、人よりキャリアを重視してるからだと思ってもみた。でも、直属の先輩がプロポーズに悩んでいたり、第一線で活躍する女性教授が子育てとの両立に励んでいたり。仕事を頑張る人でも、結婚はみんなしてるらしい。女性向けのセミナーに行くと、産休・育休とか、保育施設とかの支援制度が必ず話題に上がる。ここでもやっぱり、結婚や出産は当たり前に経験する事だった。

きっと実際の就職でも、女性として結婚、出産が懸念されるんだろう。いくら私に、する気がなくても。

結婚をして子孫を残したいと思わない私は、人間なのだろうか?

一歩引いて冷めた視点から考えれば、子孫を残すために子供を欲するのが正常で、結婚したいと思うことが当たり前なのかなとも思う。

それならば、私はちゃんと人間なんだろうか。
まともな感情が無いのかもしれない。

友人と一緒にいながら、時々とてつもない孤独感に襲われる。
どこから、私と彼女達の認識はズレていたんだろうか。
男女に関わらず、当たり前のように大勢が大学に行って、理系学部にも意外と女子がいて、社会に出てからのことも、女性管理職を増えていたり、共働きで育児支援が充実したりと話題になってて、“男女平等”が唱えられる中で、私はあたかも性別から解き放たれるかのように勘違いしていたらしい。

実際には、女性が女性であることは変わっていなくて、ごく一部分の人を除けば、これまでの家父長制のまま結婚して、家庭に入って、子供を育てる生活で十分幸せだったのかもしれない。
私には、女性としての幸せが苦しくて仕方ない。