ステータス”誰かの彼女”をキープするために私がしていたこと

先日、2年ほどお付き合いをしていた彼氏と別れた。
彼と付き合い始めたきっかけは相手のプレゼンコンテストの応援。
切羽詰まってた当時、私とのふざけ気味のLINEで癒されたみたい。
彼が弱音を吐いた時、私に一喝されてパワーになったみたい。
だから、彼をあの手この手を使って支えるのが私の仕事だった。

朝起こすこと。
傘をすぐ忘れる彼のために駅までお迎え。
実は全く興味なかったプレゼンコンテストの付き添い(北海道から四国まで5か所も!!)。
彼の彼女というだけで彼の友達にSNSをフォローされるから、そのフォロバ。
彼の友達とのご歓談。
初めの4カ月はこうやって過ごした。

つらかったけど、“誰かの彼女である”というステータスに大満足していた。
SNSにも載るし、彼の友達からコメントくるし。
順調に半年記念日を迎える頃、私の就職活動が本格化、私は病んで自殺未遂手前をフラフラした。
彼に信じられないほど迷惑をかけ、悩ませた。
今度は私が彼に支えてもらった。
長女で、親戚からも信頼度抜群の私的には最悪だった。
つらかったけど、“誰かの彼女である”というステータスに大満足していた。

別れた2日後にマッチングアプリをダウンロードし、モテ活動開始

先日、別れた。
同じシェアハウスに住んだり、一緒に住み込みのアルバイトをしたり、お互いの家族に会っていたりしたし、本気で結婚も考えていた。
お互いの心の奥まで土足で踏み込んで、足跡を残していた。だから当然、
”もう彼以上の人と出会えないのではないか。
あの時あんなことを言うべきではなかった。
私たちはうまくいかない運命だったのか。

食事ものどを通らないし、ふとした時に彼を思い出す。
彼と一緒にこのアイス食べたな、ああ、戻りたいな。
もう誰のことも信じられない、しばらく恋愛はいいや!”
ってなるはずだった。
精神的な繋がりが濃いお付き合いをしていたからね、当然だ。

しかし2日後、私は完全に立ち直った。むしろ久しぶりに元気になった。
以前の彼氏候補全員にLINEを飛ばしたから。
うち2名とサシ飲みが決まったから。
そして出会いがゼロなので何となくマッチングアプリを始めたら、大量の彼氏候補が出現したから。
常に10人ほどの男性から“いいね!”が来ている。
一刻も早く誰かの彼女になるために自分磨きをして、モテ女にならねば。
適度な運動と丁寧な肌と髪のケア行い、新しい服を購入し、勉学に勤しみはじめた。

別れて一か月も経たない今、私は毎日が楽しい。
なぜなら、すごくモテているから。
私の自己紹介と、顔写真と、ふざけ気味のチャットでモテモテだ。
だから、私は元気だ。

順調なモテ活動。手を伸ばせばすぐ彼氏ができるのに気乗りしない日々

思えば、別れてから次の彼氏が出来るまでの私は輝いていたと思う。
毎日完璧にキメて授業に行ってた。
低気圧にもPMSにも負けなかった。
一度に数人と駆け引きを繰り広げ、ご飯や飲みに行って、予定はパンパン。
モテるツボを完全におさえている私は、手ごたえを十分に感じていた。
毎日一張羅で背筋を伸ばしてお出かけし、手帳はびっしりで常に誰かしらからLINEが来ている、この状態が好きだった。

モテるために頑張る。
モテていることで安心する。
彼氏がいるだけで自分がハイブランドになった気分になる。
そして、毎日頑張れる。

こんな循環で生きている私だから、マッチングアプリは最高だ。
共通の趣味の多さ、顔、年収、職業、性格等々フィルターをかけて”検索”できるから魅力的な人ばかり出てくるし。

でもいざ、“れてぃさん、やりとり楽しいです。実際会ってみたいです!”、“いまひま?電話しない?”、“映画好きならさ、この映画観に行かない?”っていうお誘いが来ると、無視しちゃう。
会いたくない。話すことなんてない。
なぜって、モテることがゴールだから。
相手の彼女候補になれればOK。
もちろん真剣なお付き合いをできる相手を探してるよ。
本命はある程度絞ってる。

でも、モテたいがために勉強時間にしてる移動中も、寝る時間になってもアプリを開いてせっせと指を動かしている自分が嫌。
私は、ただモテたいだけです。
皆さん、ごめんなさい。
勘違いさせてごめんなさい。
道具扱いしてごめんなさい。

モテるが全てじゃないから。自分の生きる軸を自分で作り上げていく

モテなくても、元気でいたい。
モテるためじゃなく、自分のために健康的に運動して肌と髪をメンテナンスして、おしゃれして学校に通いたい。
サボらずヒールをはいてお出かけしたい。
モテることで元気になれる自分を変えたい。

誰かの彼女になると、私の勢いは落ち着き、お菓子を食べ始め、夜の炭水化物を解禁する。
前みたいにエンジンがかからない。
彼氏いるブランド、というガソリンは手中にあるのに、頑張れない自分が嫌だ。
そして少しずつ自信がなくなって、彼女候補だった時の私とは別人になって別れる、というのがいつものオチだ。

雑誌やニュースサイトにも、モテるための情報が溢れ返っている。
どうやらモテること間違いなしとの髪型、彼をメロメロにするとかいうコーデ、追われる女になれるらしいハウツー、あの人を告白させる雰囲気づくりについての教科書が多すぎる。
モテることが良しとする風潮が量産されているとしか思えない。

モテることが軸なの?
モテるためのおしゃれなの?
モテるために言動を変えなきゃダメ?
恋愛はファッションなんかじゃない。
カジュアルなものじゃない。

でも私は、それに流されている。パワーの源にすらなっている。
モテることを生きがいにしている人は多いと思う。
だからこそ恋愛ソングは毎日のように出るし、漫画はロングセラーで映画化して、ドラマは高視聴率で、定番の雑誌はモテを意識したものばかりなんだと思う。
わかってるのに、モテてるだけで、彼氏がいるだけで、魅力的な人になった気になってる自分がいる。
彼氏持ちっていうオプションがなくても、自分は自分なのにね。
恋愛が全てなのかな。

モテてなくてもいい、パートナーがいなくてもいい、独身でもいい。
別に欠陥品なんかじゃない。
恋愛が全てじゃない。
恋愛以外でもステキな人であるって証明できる軸、ないかな。
モテる以外でも魅力を発信できる手段、ないかな。
マッチングアプリ、本来の目的に沿って使いたい。