学生時代の私は、恋愛面でちょっと無敵だった。
とはいっても、芸能人や有名企業のサラリーマンと付き合っていたわけではない。中学の野球部のキャプテンや大学のサークルの部長とか、所属しているコミュニティの人気者はいつも私の彼氏だっただけ。

全員ちゃんと好きだった。でも、好きの理由の中には、自分より可愛いあの子の好きな男子だからとか、クラスの女子から人気だからとか、そういう不誠実なものがあった。ステータスや名声を持つ人気者の男子と付き合うことで、自分の自信を保っていたのだ。

人気者の彼氏がいる私。自分の「自信」を全て、他人に委ねていた…

恋愛経験が少ない男子を彼氏にするのなんて簡単だった。その男子が、好きそうな女子を演じて駆け引きしたら良い。そうして、狙いを定めた男子と付き合えた私は、一時的に自信が上がる。「こんなにも素晴らしい彼氏を捕まえた、だから私は素晴らしい」という自信。でも、それは彼氏が素晴らしいだけであって、私は全く素晴らしくないのだ。

何ヶ月か付き合っていくと「なんでこの人は、こんな私が好きなんだろう」と気持ちが悪くなる。彼氏は何も悪くないのに、自分に自信がなくて自分が嫌いだから、自分なんかと付き合っている彼氏のことも嫌いになる。そして数ヶ月で別れる。でも自信が欲しくて、また別の人気者の男子と付き合う。その繰り返しだった。ひどい女だった。

自分の自信を全て他人に委ねていたので、気づいた時には何も残っていなかった。周りの人が色々な経験をして、自分らしさと自信を形成していく中、私は空っぽだった。

私の自信のなさや自分嫌いは、頑固な油汚れのようだった

大学2年生の時、いつも通り大好きだったはずの彼氏を振り「人と長期間付き合えない。なんで?どうしよう……」となっていた時「他人と向き合うことから逃げるな」と友人から大説教された。こんな私と向き合い、説教をしてくれる友人を見て気づいた。私は他人と向き合えるフィールドにも立てていない。まずは自分と向き合う必要がある。

非常に恥ずかしい話なのだが、冒頭から書いている、“自分の自信を他人に委ねていたこと”や、“自分が嫌いだから自分と付き合っている彼氏を嫌いになる”と気づいたのは、友人に説教してもらい自分と向き合ってからだった。

気づけても、変わるのは難しかった。長い時間私の中で育っていた、自分への自信のなさや自分嫌いは、頑固な油汚れのようだった。ちょっとやそっとじゃ全然きれいにならない。でも、嫌いな自分のままで大好きな友人や家族と向き合うのは失礼だと思い、心の持ち方や行動を変えて、少しずつ汚れを落としていった。

私は「本当の自分」が、彼氏に嫌われることを恐れていたんだ…

社会人になって、数年ぶりに彼氏ができた。雰囲気や考え方、他人への接し方、顔も全部好きだった。でも、付き合う中でお互いに合わない部分も出てきた。その合わない部分を理解するため、話し合ったり体験したりして受け入れた。自分嫌いも発症した。その時も、落ち着くまで私の話を聞いてくれた。一緒に過ごしてもう4年になる。自分と他人と向き合えている。

初めて人と長期間付き合って、気づいたことがもう1つある。今までの恋愛で、彼氏が好きそうな女子を演じていた私は、本当の自分をさらけ出せなかった。ただ長期間一緒にいると必ず本当の自分が出る。それは、例え私が女優でも。

私は、本当の自分が彼氏に嫌われることを恐れていた。だから、本当の自分が出る前に別れ、長期間人と付き合えなかったのだ。でも、今なら分かる。本当の自分にこそ自分らしさがあり、自分らしさから自信が生まれるのだ。

過去の私のように自分の自信を他人に委ねている人へ。
貴方は、貴方として生きているだけで素晴らしいです。自分を肯定して、自信を持ってください。ありのままの貴方を好きになってくれる人は、絶対にいるから。