ずっと、不思議だったことがある。
「絶対結婚するんだ」。中学生の時、お揃いのペアリングを左手の薬指にはめた友達が、はにかみながらそう言う。
「二人ならきっとできるよ」。私は、そう言って笑みを浮かべる。1ミリもそう思ってはいないけど。

「結婚は絶対に運命の人としよう」と思って生きていた

私のお父さんは、お世辞にもイケメンとは言えない。お母さんは美人だと思う。
二人はとても仲がいい。子どもたちが20歳を超えた今でも、二人で旅行に行っている。

ある日突然、父と母の血が繋がっていない事実を知って(もちろんそう)、衝撃を受けた。
私と弟、その父と母、そしてその父母、みんな家族で、だからなんとなく血が繋がってると幼い私は思ったのだ。
今でこそ、家族は別に血が繋がっているとは限らない(私は飼っているカメも家族だと思っている)と知っているけど、とにかくその時はびっくりした。

父と母が付き合った当初はもちろん喧嘩とかしただろうけど、父と母はとにかく仲が良すぎて、世の中に運命ってあるんだ、そして結婚は運命の人とするんだ、と信じて疑わなかった。
ぴったりと凹凸が重なるような。そんな相手がいるんだと思っていた。

だけど、周りの話を聞く限り、どうやらそうでもないことがわかった。
お父さんとお母さんが仲良いとは限らないし、離婚された方もいる。
そんな話を聞いた時、私は決まって「絶対に運命の人を探し出して結婚しよう」と思った。

結婚と恋愛は別。そうやっていつも期間限定の恋をしていた

私はお父さんみたいな人と結婚したいとずっとずっと思っていた。
とにかく丁寧で優しい。友達がとても多いとか、きっとクラスの中心にいるタイプではなかったんだろうけど、
ちゃんと自分の大事なものを知っている人だ。
ちなみに顔が私のタイプではないし、痩せてもいない。

一方で、私がかっこいいとか思う人はいつもクラスの中心にいるような人。
女の子の扱いがよくて、要領がいいから最低限の努力で結果を出す人。お父さんとは正反対だ。

だから、付き合っても、この人とは結婚しないんだと、そう思っていた。
結婚するためには、相手に最低限の収入があるだとか、浮気しなさそうだとか、ある程度の条件があった。
だから、冒頭の友達の発言には、「そんなに長く続かないでしょ」とか、「相手が結婚相手として大丈夫かどうかとか、中学生の段階でわからなくない?」とか思っていた。

私は根っからの恋愛体質なので、すぐ恋に落ちるし、本当に周りが見えなくなるくらい好きになってしまう。
だけど、その一方で、この人とは結婚しないなー。そう冷静に思っている自分もいる。
とても熱い自分と、冷めきった自分。だから、少しでも恋愛の熱が冷めると、別れていた。
恋愛で付き合った先に、結婚はない。結婚する人は、最初からそのつもりでいないと。

今結婚を考えている人は、白米じゃなくてアイスのはずの、元セフレ

そんな私が。今付き合っている人とは、結婚を考えてしまっている。
別のエッセイにも書いたが、元セフレだった人だ。

結婚する前に、最後にイケメンと付き合いたい。例に漏れず恋に堕ちてしまった私は、そろそろ結婚したいと思っていたけど、最後にと思って恋愛することにした。
結婚を考えるなんて、想像だにしなかった。イケメンだし(勝手にイケメンは浮気をしそうなので結婚しないと決めていた)、スタートセフレだし、大企業勤めでもない。

一度私はもう彼に会わないと言って離れたことがあるのだけど、理由は三つあった。
それはセフレという関係にうんざりしたのが一つ、結婚しない相手と一緒にいてもなと思ったのが一つ、どうしても合わない箇所があったのが一つだった。
あなたはアイス。一緒にいたらずっと食べたいと思ってしまうけれど、健康によくはないの。私が食べるべきは白米なのに、一緒にいたらアイスだけでお腹いっぱいになっちゃう。

そう伝えて離れた。

結局色々あって戻ったのだけど、今では結婚を考えるようになった。本当に衝撃だ。価値観を変えられてしまったから。

どうしても合わない箇所は、彼が私に合わせてくれた。他にも、細かいところで意見が食い違うけれど、きちんと話し合って乗り越えている。

思えば、父と母も最初から凹凸が合うわけではなかったのかもしれない。
でも、ふたりできっと合うように磨いてきたのだと思う。

最終的に、今の彼と結婚するかどうかはわからないけれど。できたらいいなと思う。