あんなに笑顔を向けていた写真。いつからか嫌いになっていた

いつからか私は写真が苦手になってしまった。
幼稚園の頃の私はとびっきりの笑顔でこちらを見ていて、むしろ自分を見てと言わんばかりの表情をしていた。
自分のことをかわいいとかかわいくないとか、誰になんと思われていようがいまいが、あの頃の私には関係なかった。
好きな髪型をして好きな服を着て、お気に入りのアクセサリーを身に付けて、少しあざといポーズをして、、、
そんな自分が懐かしく、戻りたいと思う。
こうなってしまった原因はなんとなく分かっている。他人から言われた何気ない一言は案外心に刺さるもの。かわいい子の隣にいるとき、「私は引き立て役なんだ、、、」「目立ってはいけない」と感じたことも多々あった。
写真が苦手になってから自分の心も周りの人の心も傷つけているような気がする。写真が苦手になってから、自分の行動にも自信がなくなっているなと薄々感じている。

人前で撮影することは公開処刑のように感じていた大学時代

大学の入学式の写真はそれを物語っている。父は私にカメラを向けるのだが、私は周りの目が気になって、ふてくされた表情をしてしまった。父は娘の笑顔を写真に収めたかっただろう。一生残る写真なのに、自分のコンプレックスのせいで素敵な写真にならなかった。その写真を見るたびに溢れんばかりの後悔が私を襲う。

東北の田舎から上京した私にとって、大学の周りの女の子は眩しかった。かわいい子がたくさんいて、目立った場所で写真を撮るなど、私にとっては公開処刑に近かった。
今でも、人に見られる場では、他人からどう思われているのか不安になり、自然な笑顔になれないときがある。
「かわいくないのに写真撮るなよ」
「調子のんなよ」
聞こえるはずもない声が聞こえてしまう。

夢は、いつかまたとびきりの笑顔で写真が撮れるようになること

本当は、今流行りの映えスポットでわいわいしながら撮りたいし、誕生日には誕生日プレートを持って決め顔で撮ってみたい。友達のInstagramの投稿を見ていて「私もいつか~」なんて思う。
容姿に対する悩みは尽きないけれど、私の周りには私のことを「かわいい」と言ってくれる人もいる。2ヶ月前、うれしい出来事があった。実習で小学生を担当していたときのこと。私はマスクをしていたのだが、子どもたちからマスクを外してほしいとのリクエストが。おそるおそるマスクを外す私に、子どもたちは続けて「先生、かわいい」と言ってくれたのだ。先生だから気を遣ってくれたのかな、、、。でもその一言がとてもうれしかった。自信にもなった。

そんな私は、最近自己投資にハマっている。スキンケアを見直したり、色んなジャンルの本を読んだり、エッセイに挑戦したり、、、。今はコンプレックスを克服した姿を想像するのがモチベーションになっている。時間はかかるかもしれないけれど、いつか堂々と周りの目を気にしないであの頃のようなとびっきりの笑顔で写真を撮りたい。それが私の小さな夢である。