身長160cmのわたしの体重は、80kgある。今朝量った。たった5年間で30kg増えたのは、持病の双極性障害のせいだ。と思っていたが、最近それだけでもないらしいと気づいた。

10代から最近までのわたしは、自分の容姿をひどく醜いと思っていた。

実家にいた10代の頃、祖父からは「汚い顔」と言われていた。父親からは顔中にニキビがあったときに「顔が腐っている」と言われ、「お前はブサイクだから、嫁の引き取り手がない」とも言われていた。母親に訴えても、「お父さんは仕事で疲れているから、許してあげて」とよくわからないことを言って取りあってもらえなかった。わたしには見間違えられるほどよく似た、歳の離れた妹がいるのに、妹は言われていなかったようだ。「お金を貯めて整形したい」と言うと、「顔がそっくりなおばあちゃんが悲しむ」と母親に怒られた。

大学進学と同時に実家を出ても、実家で言われ続けてきたネガティブな言葉がわたしの脳内について回った。かわいいと思った服を着ても、コンプレックスを隠すメイクをしても全然ダメにしか思えなかった。自分の顔と体が、メイクと服を台無しにしている感じがした。恋愛もわたしにはできないと思っていた。そんな資格はわたしにはないと。

「俺のために痩せてよ」? 絶対に嫌!顔も身体もわたしのもの!

大学時代に偶然知り合った最低な男が、あるときわたしにこう言った。

「俺のために痩せてよ」

恋人でも何でもない相手で、冗談だったのだとは思う。笑ってほしかったのかもしれない。でも、わたしの反応は違った。絶対嫌だ。わたしは瞬間的に強くそう思った。そのとき、わたしの中で何かが弾けた感覚がした。わたしの顔も体もわたしのものだ。なんでこんな、好きでもない、嫌いな男の言うことを聞かなきゃいけないんだ。その感情は怒りに近かった。今思うと、それがトリガーのひとつになって、ダイエットができなくなったのだと思う。あの男の言うことを聞くのは癪だったから。その頃、わたしはそんなに太ってはいなかった。少し、むちっとしているくらいだったように思う。

それから、わたしは鬱のたびにむちゃ食いをしてしまい、雪だるま式にどんどん体重が増えていった。多分それは、実家で言われた呪いの言葉や、あの男に対するねじ曲がった復讐心が、そうさせていたのだろう。

他人のネガティブな言葉は聞く必要ない。気付いたら自信が出てきた

去年、10代から20代前半の自分の写真を見た。全然垢ぬけてはなかったが、細い普通の女の子だった。家族の言葉は全部聞く必要のないものだったとわかった。最近の写真も見た。パフェを食べる姿はどう見ても獰猛な熊みたいだったが、ちょっとはかわいいと思えた。

それから、今わたしは初めて恋人とつきあっている。彼はわたしみたいな体型の人が好みらしく、そのままのわたしのことを「かわいい」と言ってくれる。そう言われると、不思議と本当にそういう気持ちになれるから不思議だ。

プラスサイズモデルさんたちの活躍や考えを知ったのも自信に繋がった。

そういうわけで、わたしはやっと自分の見た目も悪くないなと思えるようになれた。

とことんわたしのために生きる。これがわたしのボディポジティブ

今のわたしにはふたつ目標がある。

ひとつは、個人的な目標。わたしだけのためにダイエットをすることだ。具体的にはXLサイズが着られるくらいになりたい。3L以上とXLでは、着られる服のバリエーションに大幅に差があるからだ。そして、わたしが着たい洋服を着て、わたしがしたいメイクをする。とことんわたしのために生きて、今までの失われた20年を取り戻したい。

もうひとつの目標は、容姿のことを悪く言われて育ってきたとか、口出しされてきた人には「そうじゃないよ」と伝えていくこと。わたしは文章を書くことしかできないから、作品でそう言っていきたい。それがわたしなりのボディポジティブだ。