最近のメディアの放送を観ていると、インスタントラーメンと似ているなーと思う。

一般人のTwitterなどのSNSから集めた動画(例えば、外国で車が暴走して炎上し衝突する危険なシーン)を冒頭に流して、視聴者に提供する。
手軽に、早く、簡単に美味しいものが出来上がるのだ。

これを観るたびに、この映像を観て一体誰が幸せになるんだろう?
一体メディアはどこを目指しているのだろうか? と思わずにはいられない。

ネットで調べただけの記事は、努力している人を傷つけていないか?

でも、ここで一つ現代人には考えてほしい。
世の中のほとんどは、需要と供給で成り立っており、テレビの場合は視聴率がものをいう。
それを少なからず良しとする人や求めている人がいるから、メディアは簡単なインスタントラーメンを提供するので済んでしまうのだ。

私は甲子園と箱根駅伝が大好きだ。ノンフィクションは、実に心打たれる。
甲子園の中継は、私が思うにかなり平等で、特に初戦は大注目の選手がいれば別だが、どちらかに加担することなく放送されている。
だから、エラーが出れば、どちらのチームであってもとてつもなく心が痛むし、打球音がしたときにはたまらなく興奮する。
フラットに観戦できて、最高の至福の時間だ。

しかし、翌日テレビを観ると、必ずといっていいほど、偏った情報に変わっている。
「公立の星、〇〇高校!2回戦突破!強豪〇〇高校相手に勝利できるか?!」
そして、その後の記事には、その高校が東大〇〇人の進学校だの、グランドが狭いだの、いかにも公立高校はお金がなくてかわいそうというような感じで記事が出されて同情を誘い、メディア全体で公立高校=スーパーヒーローかのように応援する。
その裏には、強豪校はお金があって練習環境に恵まれてるから、勝てるに決まってるだろうという嫌味までついてくるような気がする。

公立校でも寄付金でかなり潤ってる学校もあるし、強豪校でも雪国などの積雪で冬はまともに練習できないところもあるのに。

しかも、その記事を記事を読むと、現地に赴いて半年前から取材していたわけではなく、ホームページ等ネットでサッと直前に調べただけと思われる、あまりに中身が空っぽなのだ。
高校球児は、みんな本気で白球を追っているし、その血の滲むような努力に優劣はないのに。
これらの記事は、高校球児を傷つけてしまうのではないか。

メディアは、巧妙に「人の心」をもて遊んでいるような気がする

他にも思うことはある。
メディアは、巧みに忖度している。

芸能人の不倫などのゴシップネタは、昼夜問わず飽きるほど特集し、当事者以外の周りの人を傷つけている。

一方、大手プロダクションのアイドルが起こした不祥事は、なかったかのようにほとんど触れられず闇に葬られる。
恐らく利害関係により、今後の関係にヒビが入らぬよう情報を極力出さないようにしているのだろう。

メディアは実に巧妙にバレないよう、人の心をもて遊んでいるような気がする。
心理学でも学んでいれば、このトリックが分かるかもしれないが、私みたいな人には難儀だ。メディアは、あまり疑う余地を与えさせない。なぜなら、現実を伝えなくなるからだ。

いい例が『GO TO キャンペーン』。
都会で遊ぶ若者を非国民化のようにバッシングする報道から一変、急に観光名所を紹介して、GO TO キャンペーン、イートを利用する人をこぞって特集。

しかしながら、みなさんはお気付きだろうか? コロナウイルス感染者の数は、依然としてあまり変わっていない。
むしろ増えていることもあるという現実を。

努力を惜しまず、伝えるのが難しいであろう「現実」を見せてほしい

はじめの話に戻るが、今一度問いたい。
私たちは100%メディアが悪いとは言い切るのだろうか。受け取る側に、責任は全くないのだろうか。私たちは、能動的に動いているだろうか。ありのままの現実を知ろうとする努力をしているだろうか。

メディアに言いたい。
1番伝えるのが難しいであろう現実を見せてほしいと。その努力を惜しまないでほしい。
この御時世では難しいかもしれないが、現地に足を運び、時間をかけて、目で見て聞いて、ありのままを伝えてほしい。

私は、決してインスタントラーメンが悪いとは言わない。だって美味しいから。
だが、たまには時間を忘れて、ゆっくりクッキーを焼いて食べる努力を惜しまないでほしい。

そして、私たち現代人には、色々なことを疑って現実を突き止めることに情熱を傾けてほしい。
受け身であるからといって、楽を選ばないでほしい。メディアからの情報を是非たくさん疑ってほしい。

最後に、このエッセイを読んでくださったみなさんにも今一度考えていただきたい。
それはなにかというと、この文章もあくまで私1人の意見にすぎないということだ。

だから、是非このエッセイもたくさん疑ってほしいなと思う。