私は5歳のときからプリンセスに憧れてた。
お城に住んで綺麗なドレスを着て、助けてくれる動物がいて、歌もうまくて。
そして王子様が現れてハッピーエンド。
恥ずかしいことに、私もプリンセスになりたいと本気で思っていた。
現実主義の私だけど、現実逃避しがちみたいです。

ずっと憧れていたプリンセス。最近とっても近づいている気がします

まずプリンセスは各々かわいい。
例えば白い肌と赤い唇、ぱっちりおめめと黒髪ショートヘアの初代プリンセス。
妖精の魔法で、バラ色の唇とスミレ色の目、そして陽光の色をした髪を授かった王女。
つるんとした肌とぷっくりした唇、茶色い髪があの黄色いドレスとよく合う女の子。
ベリーダンスの衣装っぽい服を着こなす圧倒的なくびれとミステリアスな雰囲気を持つ一人娘。
赤い髪と青い目、紫の貝殻、緑っぽいひれっていうすごくカラフルなのになぜか奇抜に見えない彼女。
それぞれの良さが強く出てる。

そんな彼女たちに共通するのは、王家もしくはお金持ちの娘ってこと。
動物が助けてくれること。
意地悪な大敵がいること。
最終的に将来の王様と結婚すること。
歌がうまいこと。
天然で気が強いこと。
芯があること。
舞踏会を諦めなかったり、森の中で生き延びたり、野獣に対抗し続けたり、海やお城や塔から脱走したり。
積極的で、主体的で、アクティブだよね、彼女たち。

そして、プリンセスって全員ティーンなんだよね。
ちなみに私はとっくに23歳だ。
それでも、実は私はまだプリンセスになりたい!
と思い始めて数か月、私はプリンセスに近づいている気がするのです。

わかりました、さすがに金髪と明るい色の瞳は諦めます。
かぼちゃの馬車に乗れないことも、ガラスのヒールをはく機会がないことも認めます。
お城に住めないことも、ドレスなんて人生で数えるほどしか着れないことも、動物とお話しできないことも、歌が下手なことも、全部受け入れます。

夢をかなえるため、私の、私による、私のための令和プリンセスライフ

それでもプリンセスになりたかったら、どうしたらいいんだろう。
幸いなことに私は意地悪な継母も、私の容姿や声を狙う魔女もいない。
町で一番のマッチョでプライドが高い男にプロポーズされる予定もない。
どこかの国の王子と政略結婚させられる様子もない。
糸車を人生で触ることはないと思う。
森や塔の中に閉じ込められてもない。

いや、令和の現在、周囲の敵も関係ない。
結婚はマストじゃないよ。
どこに住むかも自由だよ。
第一、魔法は存在しませんし。
諦めるべきとこは諦めた。
ほかで私がプリンセスになれるとしたら、どこを模倣したらいいのかな。
ストーリーや性格を無視していったん考えてみたところ、あることに気がついてしまった。

”プリンセス”は、”女の子”らしさの代名詞なのかも、って。

それから彼女たちはやるべきことはきちんとやってることにも気がついた。
彼女たちは基本積極的で自発的、アクティブであると同時に女の子らしさも持ち合わせている。
見た目にコンプレックスを持つ様子もなく、むしろ持って生まれた顔立ちや髪を活かすファッションや仕草をしている。
なるほど、自分で自分をプリンセスだと思って、自分を女の子扱いすればいいのか。
自分の容姿をアピールできるファッションをしてもいいのかもしれない。
こうして、私の、私による、私のためのプリンセスライフが始まった。

彼女たちの考えを拝借して実行したら、どんどん自分を好きになってた

毎日の電車に乗っている100分間は勉強か読書って決めているけれど、出来なかった日は自分で自分にイライラしてた。
今は、女の子だからしょうがない。そんな日もあるよね、疲れるもんねって思ってる。

寝坊したとき。
これまではどうして起きれなかったのか、どうして前日夜更かししたのか自分のことを責めていた。
寝坊しただけで一日が終わった気分だった。
今は、女の子だからしょうがない。完璧に起きるなんてそんなことはつらいよね、よく寝れてよかったね、って思ってる。

お菓子を食べちゃったとき。
17キロ太ったから絶対にダメ。許されない、って規制して結局食べちゃってメンタル崩壊、だったんだけど。
今は、女の子はお菓子がないとだめだよね、むしろ女の子はスイーツに囲まれて生きていくものだよね。
はあ、とっても幸せ。

プリンセスたちはかわいいものに囲まれているから、そこもマネした。
お部屋の壁に好きなもの貼ったりいい匂いにしたり、かわいいポーチや雑貨を買ったり、目立たないとこまでかわいいものでそろえたら、毎日ワクワクしちゃうようになった。
女の子で良かった。

最近のトレンド、マットなメイクやナチュラルメイクに近づけていたけれど、メイクが下手で上手くいかないし、とにかく好きじゃなかった。

だけどプリンセスに”なってから”は、マツエクをしてネコ目アイラインをして、ラメのシャドウを付けて、自分の目ヂカラを強調するようなメイクの練習を始めちゃいました。

ケバいとか派手だとか言われちゃうけど、元々目が大きめなの。大きいおめめが憧れなの。
服もトレンドから離れ始めました。

プリンセスたちは、強くて行動力があって筋が通ってる。
彼女たちの考えを拝借して、私も自分の意見や思いは強く持つようになった。
おかしいと思ったらおかしいって言うし、ダメなものはダメ、ほしいものはほしい、って自分の気持ちに素直になった。嘘をつかないようにした。プリンセスも嘘とは無縁だし。

そうやっていたら、自分の価値観や考え方に自信が持てるようになった。
アクティブな彼女たちを見習って、とにかくやってみるようになった。
自分の思いを守れるようになったし、自分の思いに素直に生きられるようになった。
そしたら毎日が楽しくなって、すっきりした気持ちで毎日起きられるようになった。

気づけば寝坊もしなくなって、ちゃんと夜にシャワー浴びて、勉強も続いてるの。

私がこの物語の主人公。プリンセスに自分を仕立ててハッピーをゲット

だからね、“自分の憧れに向けて頑張る”、じゃなくて“憧れになっちゃえ”ばいいんだと思うんだ。
私はプリンセスになりたかったから、自分のイメージする”プリンセス”に自分を仕立てたら、なれてたような気がするの。
無理したとは全く思わない。
自分をプリンセスだと思っただけ。
ときどきアラビアンなあのプリンセスになってみたり、人魚の彼女になったり、もはや架空のプリンセスになってしまったり。

今日もちょっと高いチョコレートと入浴剤を買って帰ります。
女の子だから、定期的にかわいいご褒美が必要なの。

あわよくばいつか私にも王子様が現れますように。
王家の息子じゃなくても、踊れなくても、白馬に乗ってなくてもいいから。
私も王女じゃないし歌はオンチです、カラオケに誘わないでくださいね。

あ、もう一つ。
プリンセスたちは、その物語の主人公。
彼女たちの意志によって数々のストーリーが動いて、ハッピーエンドにもっていってるんだよ。
私たちも主人公で、私たちの意志でハッピーはゲットできるはず!
女の子って、最高!