可愛いというのは良い事だ。
だって鏡を見ると0円でハッピーになれる。それだけでかなりもうけもん。

さて、可愛いを愛する私は、顔のパーツが整ってはないけど大ぶりで地黒なお顔で、出っ歯を見せて涙袋がはち切れんばかりによく笑う。
淡い色が好きで、タンスの中はそんな色のスカートやワンピースばかり。
貧相な上半身とどっしりした下半身な上に、154cmしかないスタイルの悪さがコンプレックスでよく華奢なヒールを履く。

こんな感じで私は、某千年に一度の美少女からも、お隣の国のアイドルからも離れた容姿の、万人が羨む可愛いの持ち主ではない。発展途上と呼んでいただきたい。

好きな服を着てご機嫌でいるだけなのに、なぜ?

しかし、有難いことに今の私を可愛いと称してくれる人は一定数いる。
集合写真やインスタに映りこんだ姿や、ツーショのアイコンを、可愛いから覚えてた! と声をかけてくれる同性や、ナンパのお兄さん、バイト先の男性陣の数割。
所作とか雰囲気込みなのは重々承知であるが、周りの同性はそれをわかってくれないことがチラホラあった。

可愛いを愛していると言ったが、それだけでは飽き足らず、可愛いけど面白い人に憧れて見た目と内面をゴシゴシ磨いてきた。それゆえか付き合いの長い友人からは「可愛いんだけど、そう言うのを躊躇うくらい面白い」と言われる。

しかし付き合いが浅いと、私だってフルスロットルでぶつかれない。そんな時に2人で歩いていて私だけナンパ、しかも複数回されるなんて最悪。私は何にも悪いことしてないのに侮蔑の眼差しがビシビシ突き刺さる。

何とかナンパを振り払った後、
「(大して顔は可愛くもないし何なら私の方が可愛いと思うけど、アンタはキャピキャピして男ウケする服着てるから)、確かにまいちゃんって声掛けられそうだよね」
なんて好きな格好でご機嫌で過ごしてるだけなのに言われる羽目になる。
絶対可愛いとは言わないのがポイントだ。その後もしばらくキツイ当たりに我慢しなければならない。

面白くて可愛い。どっちも欲しいのはわがまま?

私がもし誰もが認める美人なあの子だったりしたらこんなこと言われない。
だって本当の美人にキツく当たったら男女問わず僻みかよ、と思われてしまうから。
おかしな風潮だとは本当に思うけれど、好みが別れる中途半端な顔なので、分不相応な扱いをされていると非難していい余地がある、らしい。

例えば私が女としてもう少し点数が低くてお笑いキャラでいれば、こんな風に声をかけられたり、同性から褒められたりすることも無くなるので、警戒されず気のいい面白いヤツとして優しくしてもらえる。

頭の回転が速くてめちゃくちゃ面白いのにごっつ可愛いねーちゃん。
私の憧れは何年も前からこれだ。
可愛いだけじゃつまんないし、外見が良ければ絶対中身も際立つと思っている。

けれどまだまだ憧れに程遠いから中途半端な顔と人柄で褒めとディスを同時に呼び込んでトントンにしてしまっている始末。
どっちも欲しいのはワガママなのか?どちらかのウケに振り切った方がいいのか?と悩んだ。

嫉妬の感情はプラスにかえて、なりたい自分になろう

キツく当たる気持ちだってわかる。ずば抜けて可愛い子が受けてたら許せるチヤホヤを、中途半端なエセ可愛い子が偶然受けていたら私だってモヤッとするかもしれない。
それって見下してるみたいで嫌な感情だなぁと思う。その子の分相応をこっちで勝手に決めつけてるわけだから。
けどその感情はプラスな感情に変換させて、その子の魅力を観察したり取り込んだりして、自分も成長したい。
もし私の隣でそんな思いをした子がいるなら、その子にもそうして欲しい。

少しの攻撃なら広い心で許してやらんこともないから、なりたい自分に貴方もなって欲しい。
この不自由なの世の中で、せめて見た目くらい自由でいようよ。
自分も人もランク付けて、そこから逸脱した振る舞いや扱いに目くじら立ててちゃ息苦しいしよ、私も含めて。
私の方が可愛いのに、っていう嫉妬からきてるんなら一緒に頑張ろうぜって思うし、あんたと一緒にしないで、違う方向に行くっていうなら応援するぜって思う。

私は可愛いも面白いもどっちも諦めたくないし何なら極めたい。男ウケ女ウケ関係なく、自分の好きな自分になりたい。
可愛いけど、の後には是非ユーモアを褒める言葉が並ぶねーちゃんになりたい。好きな格好と笑顔を辞めるつもりはさらさらないが、中途半端故にキツく当たられるのは嫌だ。
単純に美形は好きなので万人受けする顔にもなりたいし、すぐに中身を見初めてもらえるくらいぎゅぎゅっと詰まった人になりたい。

あんまりにも理想過ぎて、こんな風な自分になりたいとたまにニコニコしてしまう。自分ウケ極まったら人類ウケでもしていきたいね。

けど今は妬いたり妬かれたりまだまだ卑小な存在なので、とりあえず今日のところは、ノーズクリップ付けて、読みかけの脳科学の新書を読んでさっさと寝てしまおうと思う。