ただ一つ、私には気にしてしまう「視線」がある。 それは母からの視線だ

私は服が好きだ。いい意味でこだわりもない。
スカートもパンツもワンピースも着るし、アクセサリーだって、シルバーもゴールドもつける。自分の好きな服を着たり、好きなアクセサリーをつけると心がワクワクするし、その日1日がいい日になる予感がする。だから私自身は「自分が好きなものを身にまとえばいい」と思っている。
しかしただ一つ、私には気にしてしまう「視線」がある。
それは母からの視線だ。
自分では好きなものを身にまとえばいいと思っているのに、母に「その組み合わせ、私だったらしないな」と言われた瞬間、自分の服を全否定されたような気分になってしまう。
もちろん母は否定しているわけではない。「自分だったらしないけど、きっと今の人はこういう着方をするんだろう」くらいの気持ちで言っている。
だから、視線は私が勝手に感じているだけ。それは分かっているのに、どうしても、母のその一言を聞いた途端に、あんなに素敵に映っていた鏡の向こうの服たちは自信をなくして、光を失ったようにそこに佇む。ついでに私も。
私は今日も好きな服を着る。目に見えない母からの「視線」のもとの自由の中で。
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