私は2人の男の子を育てる、28歳の主婦だ。現在3人目を妊娠していて、もうそろそろ赤ちゃんの性別が分かりそうなところまできている。

前提として、子どもを持つかどうかは夫婦で決断する事なのだから、これはとてもプライベートな話だ。妊娠や出産は思い通りにならないことも多いし、社会や家族からの圧力にうんざりがっかりしている夫婦もたくさんいると思う。そして初めての妊娠はもちろん、2人目3人目の妊娠も非常にセンシティブなテーマなので、私は妊娠していることを自分から他人に話したりはしない。それは、既に子どもがいるママ友に対しても、同様である。

ママ友からもついに聞かれる様になった。「ところで、性別は分かった?」

しかし最近、私のお腹はさすがに目立つようになってきた。周りから見てもすぐに妊娠していることが分かる。お会計が終わったレジカゴを台まで運んでもらったり、電車で席を譲ってもらったりして、とてもありがたいと感じる日々。

そして、ママ友からもついに聞かれる様になった。「お腹大きくなってきたね~!ところで、性別は分かった?」と。

我が家には男の子御用達のおもちゃ達の中に紛れて、おままごとやシルバニアファミリーが混ざる

私はその度、「もうすぐ分かると思う~!でも、『きっと男の子』だって、自分に言い聞かせてるんだ(笑)」と答える。そのささやかな小ボケに対して、ママ友も大抵笑ってくれる。そしてそのママはその後、私にこう言うのだ。「男の子でもきっと可愛いよ!年も少し離れてるし、お兄ちゃん達可愛がるだろうね~」と。

……『男の子でも』。まぁ、私がああ言ったんだし、そりゃママ友もこう返すしかない。私は毎日、朝昼晩、『きっと男の子』『きっと男の子』『きっと男の子』と自分に言い聞かせながら暮らしている。だって、きっと男の子だから(家系的に)。

しかし、私の家族や近しいママ友は知っている。我が家のおもちゃコレクションの中には既に、小宇宙が広がっているということを。

ミニカーやブロックなど、硬く角張ったおもちゃ達が入れられたおもちゃ箱の中には、まろやかなフォルムのおままごとや、シルバニアファミリーの人形達が紛れている。リビングに置かれた真っ白なバスケットの中には、溢れる程にフワフワのぬいぐるみ達が詰め込まれている。そして当の息子達はというと、いろんなおもちゃを混ぜこぜにして、楽しそうに遊んでいるのである。

私と同じ男の子ママなら分かってくれると思うのだが、男の子の為の買い物をしにいくと、大抵売場が狭い。特に洋服は極端だ。普通に売場を歩いていても、自然と視界に飛び込んでくる素敵なワンピース。わぁ…(驚愕)なんて可愛いの…。フワッとした形に、柔らかな素材、そして何よりもこの、サイズ感……。うっとり。めちゃんこ可愛い。ねぇ旦那さん、これ買ってもいい?(誰が着るねん)

おもちゃも同じで、おままごとやシルバニアファミリーは、もはや散らかっていても可愛い。そしてマジな話、そんな女の子用おもちゃからしか学べないこともたくさんあると、私は考えている。だって、冷静になって考えたら、おままごとを男の子がしちゃいけない理由って、一切ない。実際児童館なんかに行くと、男の子はレゴで武器や家も作るけど、おままごとでお店やさんごっこをしたがることだってある(物珍しさもあるだろうけど)。

私の息子達には、色んな要素に日常で触れて欲しいと考えて、表向きには(というか旦那向きには)そういう体で、我が家にはおままごとやシルバニアファミリーが導入されているという訳だ。

うちのおもちゃ達が夜中動き出して会話をしているとしたら、毎晩、トイ・ストーリーのようなやり取りが繰り広げられているのかもしれない。気の強いリーダータイプのうさちゃんがいたり、輝くビーズを探して巡回するダンプカーがいたりして。我が家は多様性に充ちている。嗚呼、あのバービー人形「ケン」の様に、肩身の狭い思いをしているおもちゃが居なければいいのだけれど。

健康に産まれてきてくれたら、それだけで家族はみんな、幸せ一杯だ。

来週の妊婦検診では、先生に「性別分かりましたよ!聞きたいですか?」と言われるかもしれない。私はその時、「男の子ですよね?」と聞き返すと思う。それに対して先生が何と言おうと、まだ見ぬ我が子の可愛さは変わらない。健康に産まれてきてくれたら、それだけで家族はみんな、幸せ一杯だ。

しかし、既に幼稚園児となっている息子達が、ぬいぐるみを抱き締めて眠る様子を見ていると、私は暗闇の中ひっそりと満たされる想いがする。6歳の長男は私に、「お家でママが女の子1人だと寂しいから、赤ちゃんは女の子だといいね!でも、もしこれからも女の子1人でも、優しくしてあげるから大丈夫だよ!」と言う。……やっぱり我が家はこれでいいのだ。私は春に産まれる3男にも、おままごとやシルバニアファミリーを買い与えるだろう。

追記。妊婦検診、行きました。エコーで我が子を見た院長先生は……「この子は多分女の子だね~」と仰っています。

……でも私の中では未だに『きっと男の子』です。だって、私の子どもだもの。ギリギリになって覆してくるに決まってる、ねぇ、そうでしょ?

私のお腹の中でパンチやキックを繰り返す、ちっちゃな可愛いbaby。本当は、どっちなんだい?