「私を栗山千明にしてください!」
行きつけの美容室に雑誌の切り抜きを持ってきた、中学生の私の言葉に美容師さんは
「髪型だけならね~」
と答えてくれた。
私は昔から好きな人の真似をするのが大好きだった。
幼稚園に通っていた頃は『セーラームーン』の真似をして、母に高い位置でツインテールに結んでもらっていた。小学生の頃は『ミニモニ。』の加護ちゃんに憧れて、少しでも縦巻きになるようにカーラーで巻いていた。顔やスタイルを似せるのはなかなか難しいが、髪型だけなら憧れの人に近づくのは案外容易だ。

大人になってかなった、幼いころの夢

髪は額縁であり重要なのだ、と雑誌か何かで読んだことがある。
全くその通りだと思う。髪型を好きな人に寄せただけでも気分はとっても高揚する。「今の私は美少女戦士なの!アイドルなの!女優なの!」ととても楽しい気持ちになれる。
まあ顔やスタイルは一般人だけど。
髪型を真似するのはとても楽しい。雑誌や動画を見ながら、あーでもない、こーでもないと試行錯誤しながらヘアスタイルを近づけていく過程は、面倒で難しいながらも面白い。
今は、「くるりんぱ」などのヘアアレンジに必要なアイテムが100円ショップで気軽に揃うし、インターネットなどを活用すれば高性能なヘアアイロン、プロが使うようなスタイリング剤も簡単に手に入る良い時代だ。そういったヘアアレンジアイテムを揃えるだけでも楽しくウキウキしてくる。
まあ、結局自分で無理だと思ったら美容師さんにお願いしてしまうのだが。
最近は、ウィッグを持ち込むと2次元のキャラクターそっくりに仕上げてくれる美容室もある。そのため、360度見回しても、どうなっているのかひとつも分からない髪型もプロに再現してもらえる。
どうしても素人ではできなかった、セーラムーンのお団子ツインテールが大人になってからできた。やっぱりプロはすごい。セーラームーンになりたい、という幼い頃の念願が叶ってとても楽しいハロウィンを過ごせた。

芸能人の真似、何が悪い?

しかし稀に「その髪、芸能人の誰々の真似してるの?意識してるの~?」とからかってくる人間がいる。
そうです。その通りです。真似しています。意識しています。
それの何が悪いのか?ヘアスタイルの真似は本当に自信を与えてくれるし面白い。こんなに楽しいことをしないで生きている人の方が謎だ。
「こんな風になりたい!」と思う人の真似から入ることで、徐々に自分の好みや自分の見た目との相性など「自分らしさ」が見つかるのだ。
私は自分に自信を持つために、楽しく毎日を過ごすために、今日も憧れのあの人の髪を真似ている。
ちなみに最近の私は新木優子である。もちろん髪型だけ。