「あなたの短所は何ですか?」
日常会話ではなかなか聞かれないけれど、就職活動の面接では志望動機、ガクチカ(=学生時代に力を入れたこと・頑張ったこと)に次ぐ定番の質問だと思う。
就職活動中の私は「緊張しやすいため、大学の研究発表では人一倍念入りに準備を行います」という答えがテンプレートだった。前半部分は真実。友人に聞かれても、私は素直に「緊張しいなところ」と答える。
一方で、私は周囲の人間から度々指摘されていたことがある。それは、私が「ネガティブ」だということ。学生時代はあまり意識したことはなかったけれど、確かに自分で考えてみても私は決してポジティブな人間ではなかった。学生時代も社会人になってからもずっと言われてきたことだから、さすがに自覚も芽生えてくる。私は自他ともに認めるネガティブだ。
だからと言って私はそのネガティブな性格を短所であるとは思っていなかった。新卒時代のOJT面談でも、私のネガティブさについて言及されたことがあるが、「はいはい、自覚しています」くらいのテンションで受け止めていた。
ネガティブを短所と認識したら直さなければと暴走する日々
一方で、休日何気なく立ち寄った本屋で、「ポジティブになる方法」といった趣旨の本がズラリと並んでいるのを発見したことがある。
ネガティブは直すべきものなのだろうか…。最初こそ気にしていなかったものの、この頃から少しずつ悩み始めた。さらにその数か月後、あろうことか私は仕事関係の出来事でネガティブマインドをこじらせ、ヤケを起こした。
さすがにこれはまずい。やっぱりこの性格はどうにかしたほうがいいのかもしれない。
ここから私がネガティブな心を何とかポジティブに持っていこうと迷走、正しくは暴走する日々が始まった。
ネガティブを短所と認識すれば、さっそくポジティブになろうと努力する。
まずは、なるべく前向きな言葉を口にするように意識した。言霊がどうのこうのとテレビで聞いたことがあったから、物は試し精神で挑戦してみた。「楽しい」「嬉しい」「きっとうまくいく」…言い慣れない言葉を連呼するのは正直きつい。心のテンションと言葉の内容が一致しない。乾いた心で無理やりポジティブな言葉を発するのは惨めだった。
続いて「スリーグッドシングス(その日に起こった良かったことを3つ書き出してポジティブな精神状態を作る方法)」にも挑戦した。脳内を漁って数少ないポジティブな出来事を絞り出したが、なかなか書くネタが浮かばず自然消滅した。
やっぱりネガティブは直らないのか…。ポジティブになりたい私とネガティブのまま変われない私。理想と現実の乖離が、私の心を追い詰めた。
ネガティブを認め、受け入れ、向き合うと決めた
そんなネガティブさに翻弄され、暴走しまくった日々からかれこれ一年が経過した。
結論、私は相変わらずネガティブだ。前向きな言葉なんて滅多に口にしない。スリーグッドシングスもしない。
とはいえ、以前のようにヤケを起こしたり、ネガティブオーラを周囲にふりまいたりしては人に気を遣わせてしまうので、それだけは注意する。
結果として私はポジティブを諦め、ネガティブとともに生きていくことに決めた。
努力しても、ポジティブにはなれなかった。でもそれはいけないことではない。
私にとってネガティブは直すものじゃない。認め、受け入れ、向き合うものだ。