私はなりたい自分が見つかると美容院に向かう。

髪を変えると第一印象はガラッと変わって接し方まで変わった

髪が与える第一印象はとても強いと思う。

赤とか青とか緑とか、いわゆる奇抜な色だと個性が強そう。黒髪でストレートでぱっつりと毛先が揃っていたら几帳面で堅そう。明るい茶色で長い髪を綺麗に巻いていたら男ウケが良くモテそう。襟足を刈り上げて前髪を長く残したショートヘアだとサバサバして付き合いやすそう。

これはわたしが今まで髪を変えて言われた感想だ。

当たり前だが、中身は私なので何も変わっていない。個性の出し方がわからず憧れの対象が沢山あって、その全てになりたいと思う程に我儘でどうせなれないと思う程にネガティブな1人の人間でしかない。

にも関わらず、髪を変えると第一印象はガラッと変わって接し方まで変わった。

奇抜な色やショートヘアの時は、ナンパがびっくりするほど減った。女性だけでいる時は男性のような役割(力仕事とか女の子を守るとか)を担うことが増えた。明るい髪色で巻いていたら、飲み会でやたらと男の人の距離が近くなった。不必要なボディータッチが増えた。ちょっと本音(近いのキモイとかそのノリ無理とか)を言ったら、冷たいと一瞬で嫌われた。

髪を変えて色んな自分を演出することは、私にとって生きる術のひとつ

最初は面倒くさいと思っていたけど、逆にいうと印象操作をしやすいのではないだろうかとプラスに考えるようになってきた。それに、同じ髪型髪色でも用途に合わせてセットをすれば、印象はまた変えることができるのだと気付いた。明るい髪色でも巻かずにストレートで纏めておけば舐められることは減ったし、ショートヘアでも少しアレンジをしていれば柔らかい印象を与えることもできる。

髪色髪型を変えて色んな自分を演出することは私にとって生きる術のひとつだ。

髪、ひいては外見だけで人を判断することはくだらないことだと思う。

でも、髪を含めた外見で人にどう見られたいかをアピールすることは大切だと思う。

髪だけで判断する人が一定数いるのであれば、自由に判断させるのではなく、こちらから誘導すればいい。どうせそんな人は中身に興味はない。きっちりとポニーテールにまとめておでこを出しただけでしっかりしてそうと面倒事を押し付けてきた同期よ。ゆるくふわふわと巻いて耳に髪を掛けただけで男好きでデキ婚して仕事すぐ辞めそうと言ってきた上司よ。ありがとう、貴方達のおかげで髪の大切さを痛いくらいに実感しました。

私が楽しく、明るく、前向きに生きていくための、言わば強化素材だ

今では、なりたい自分に近い髪色髪型を探すのが楽しい。私が楽しく、明るく、前向きに生きていくための、言わば強化素材だ。ちょっと心が落ち込んで、荒れて、浮かれて、スタンスが崩れそうになった時も鏡を見ればなりたい自分がもうそこにいる。髪型や髪色に負けないようにと私は私を奮い立たせる。

今のテーマは「すきなことを自分らしく楽しめるひと」だ。

髪型はウルフボブでインナーだけ金色に染めている。白っぽい金。長いところを外ハネにして短いところを内巻きにすると、外ハネ部分の金色がちらちらと輝く。最高。仕事の兼ね合いはどうしてもあるけど、その中で最大限らしさを出すのもやり甲斐があると言うものだ。ヘアセットをする時に「あーいい髪色だな。髪型最高だな」と思う瞬間が気持ちいい。周りの人から「攻めてますね」と言われたらそれは自分らしさが出たということだと、ニヤニヤしておく。すきなものや人ができるとすきな気持ちを優先させてしまい、私自身を蔑ろにしてしまいがちだ。「すきであるなら」が枕詞になってしまうとそれは義務になってしまう。自分らしさを大切にしよう、自分なりでいいのだと、髪が気付かせてくれる。

今までたくさんしてきた髪色や髪型が私自身を構築してくれている。完全に一部となったものもあれば、抜けてしまいつつあるものや昔とは変えたいところもある。これからも私は私のなりたいを追い求めていきたい。なりたい自分はまだまだたくさんある。その数だけ髪色と髪型をぴたりと合うものがあるはずだ。次はどんな私を目指そう。髪の力を借りながら、なりたいを叶えつづけていきたい。