何かから逃げてしまって自分を貶めていませんか?
私は逃げてきた今、幸せです。
小さなときからケーキ屋さんになりたくて、お母さんとケーキやクッキーを作るのが好きでした。

お菓子を作る工程も食べることも好きだけど、家族や友達に作ったお菓子をあげて食べてくれた時の「美味しい!」「また食べたい!」の言葉をもらえることが何よりも好きで、この言葉が聞きたいがために作っていると言っても過言ではないくらい。

この楽しみを知ってしまった私は小学生から高校卒業まで「パティシエになりたい」と宣言していました。目指すはキラキラ宝石みたいなケーキが並ぶケーキ屋さん。

16歳で本格的にパティシエの道へ 楽しい!だけど100%じゃない

中学卒業後はパティシエになる為に製菓実習や衛生学などの知識と技術を学べる高校に進学しました。
実習での指導は厳しいですが、ほぼ毎日のようにお菓子を作れることは楽しいものでした。

頑張って勉強してきましたが、どこか100%楽しめていない自分に気づきました。お菓子を作ることは楽しいことのはずなのに…

その原因は周りのクラスメイトよりも上手に作れない、センスも無いという劣等感でした。
自分の実力は下から数えた方が早いくらいに思えてしまい落ち込む日々。
それでもなんとかめげずに勉強して無事卒業し、中小企業のお菓子屋さんにパティシエとして就職が決まりました。

パティシエなら当たり前の早朝勤務 わかっていても涙が溢れた

念願のパティシエとして働ける!そう意気込んでいましたが、また新たな壁がありました。朝4時からの勤務に毎日時間に追われピリつく現場。この今まで経験した事の無い環境に怖気付いていました。

でもケーキ屋さんで早朝勤務は普通だし、まだ働き始めだからいずれ慣れるだろう。そう頬を叩き必死に頑張って働いて、帰ったら布団に倒れ込むような日々が続きました。

就職してから2ヶ月。たまたまいつもより起きるのが遅くなり、出勤前にせめて何か食べなきゃと食パンを口に詰め込んでいる時。「なんでこんなことしてるんだろう」とふと脳裏に浮かび、気付いたら涙が溢れていました。今になって振り返ってみるとしばらく素直に笑うことも出来ていない状態でした。

夢への道からそれて思い出した「何よりも自分が楽しむことが大事」

パティシエを辞めて半年ほどお菓子作りとは関係ないバイトをしていましたが、まだお菓子作りを仕事にすることは諦めずにいました。でもパティシエとして有名になるには最低3年は修行して有名店でも働いて…と考えると半年も経たずにパティシエをやめた自分が出来るわけがないしやりたくない。
そんな考えに陥りそうになった時に思い出したことがありました。それは、「何よりも自分が楽しむことが大事」ということです。

3年修行しなくても自分で独学で勉強したらいいし、有名店で働かなくてもお菓子作りを続けてプロモーションもしていけば自分のキャリアになる。
そう思えるようになってからはふと気持ちが楽になりました。

見えた 無理なくお菓子を作って販売する「おやつ作家」の道

そこから私は、バイトを続けつつ1人でお菓子を作ってカフェに卸売りで販売するようになりました。自分の無理のない時間帯に作れる分のお菓子を作る。正解は常に自分が持っているから作りながら変に劣等感を感じずに作ることに集中できる。

自分がしんどいと思うことを頑張らず、ただお菓子作りを楽しめるようになりました。そして私はパティシエでなく「おやつ作家」として自分の道を切り拓くことに決めました。

嫌なことを頑張ること、人と比べてしまうことから逃げてしまって辛くなっていた。でも自分がやりたいわがままを受け入れて元々あることとは違う道を作ってしまえたら、嫌なことを頑張る必要も人と比べる必要もなくなった。

自分の中の普通から逃げることは挑戦なのかもしれない。