私は、とある病院でうつ病と診断されました。
そういわれるまで何も知らず、
何も知らないまま働いていた「ふつう」の日常が、その日から180度変わりました。

まず、それまでの私の「ふつう」の日常生活をご紹介します。
これは、働けなくなる3ヶ月ほど前のことです。

彼氏との長電話も、ゆっくり味わうご飯も犠牲にして、ひたすら働いた

ご参考までに…私は月から金曜までフルタイム勤務の24歳女性です。
会社が遠いので、朝はいつも早起きでした。
起きるために、タイマーを5時にセットします。が、起きられたためしはありません!
たいてい6時20分に起き、服やバッグ詰めに10分、化粧に10分、軽く体操15分。
この時点で6時55分なので、もうバスの時刻(7時10分)が迫っています!

母が焼いてくれたパンをラップでくるみ、バス停(徒歩5分)まで走ります。
周りの人が誰も見ていませんように…見ていても許してくださいと祈りながら、
バス待つ間、口の中にできる限りたくさん、パンとチーズ、輪切りのトマトを入れて飲み込みます。

「バス・電車・電車」の3本通勤で、座れるのは最初のバスだけです。
バスの一人席でとりあえず思う存分寝ます。電車では、立ち寝の技を発揮して寝ます(笑)。そして8時半には会社に到着です。

そこから18時まで働きます。日によりけりでしたが、総合職だからか、事務も営業も何でもやりました。
社内でも社外でも、とにかく動き回りました。

ようやく終わり!で定時に終わったらラッキーです。

帰り道は、乗り換えで歩く15分とバスを待つ20分が、唯一の彼氏とのコールタイムでした。
バス停で私達の会話を聞いた方がいましたら、声が甘すぎで大変申し訳ございませんでした。(笑)
でも神様はおキレにならないでしょう。私はそれまで頑張ったのだから!(自己中です、はい。)

帰宅は、早くて19時半、遅くて21時半です。
疲れすぎて食欲がないので、ゼリーを喉に流し込みます。あれ、そういえばお昼ご飯は何食べたっけ…などとぼんやりしてお風呂入って、1、2時間はあっという間。
就寝は24時です。

そこから朝の5時(結局は6時半)までが、私に許された眠りの時間。
深くてひとりで、静かな時間。

私は常に7、8時間は睡眠が必要なタイプなので、日常の睡眠の差分(約2時間)は、土日に返済しているような日々でした。とにかく眠い。眠りたい。
休日はただ、眠ることが楽しみでした。

体のあちこちに不調が現れ始めてようやく、自分の状態に気付いた

けれどある日から、異変が始まります。

まず最初に、生理が止まらなくなりました。
それは…夏真っ盛りで。2カ月以上続いたので、女子の皆さんはお分かりでしょうが、さすがにげんなりしてきます。
外出たくない。寝てぇよ!ちくしょう!と思う身体を引きずりながら、婦人科で精密検査を受けました。なのに結果は、問題なし!原因不明だと言われてしまいます。

そして、腰痛もはじまりました。
左側だけ、身体をねじると痛みが走る。
軽いうちに治さなければと思い、整形外科、鍼灸院に通い始めます。MRIの検査結果は、問題なし。湿布いりますか?お大事に。と言われ、気持ちは完全に不完全燃焼です。

そしてそして、極めつけは歯の痛みでした。
奥歯が痛くなり…まずい…虫歯かもしれない!と。
一応、日曜日の夕方に頼み込んで受診しました。結果は、虫歯は全くなし。

しかし歯医者さんに、あることを指摘されます。
『夜中、歯ぎしりしていない?上の歯のチカラで下の歯が倒れているよ』と。
それが、私がそれまでの生活を疑うきっかけとなりました。

私は寝ている間に、自分の歯を食いしばっている??
なんとも受け入れがたいことでしたが、マウスピースを付けるとすぐに穴があきました。
これは事実なんだと、受け入れるしかありませんでした。

そして友人の勧めで心療内科へ行くと、会社から一刻も早く離れるよう、指示されてしまいます。

これで休めると喜んだのに。ふつうになれなかった自分に嫌悪する毎日

最初は、やっと6時以降まで眠れる!!ラッキー!!と喜べました。しかし次第に、私の心が眠りの中に、悪夢を連れてやってきます。

あんたは負けたのよと、夢の中である人がささやきます。
「次はあの劣悪な〇〇で下働きするんじゃない?」と笑うような同期の顔。
上司の運転するジェットコースターに、振り回される私。
私はしだいに、眠ることが恐ろしくなりました。

でも、起きてからも思うのです。現実を突きつけられるのです。
私がなりたかった、会社の「ふつう」には、なれなかったんだと。

私は会社が求めていた、月曜から金曜日まで「ふつう」に働く世界に、
適応しきれなかったという事実。同じような境遇で今も戦う同期を思って、
私は、私自身が、一つの社会での「ふつう」に耐えきれなかったことを知りました。

好きなことがたくさんあるのが、本来の私。私のふつうを守りたい

話が突然変わりますが、
この記事を読んでくれているあなたは、最近、何をしている時が一番好きですか?

私は一度、上司に土日は何をしているの?何をするのが好きなの?と聞かれ、
迷うことなく「寝ることです」と答えたことがあります。

その時は笑い話として終わりました。
しかし、今となってはひとつ、思うことがあるのです。

『最近あなたは、何をしている時が一番好きですか?』
この質問は、浅いようで、実はその人の日常の狂いも、一瞬で知れる質問かもしれないと。

本来の私といいますか、いつもの自分は、友人と遊んだり本を読んだり、ヨガや、家族と美味しいものを食べることが大好きでした。

なぜ、それがあの時の、上司からの質問への答えにならなかったのでしょう?

本当はもう、その時点で、気づけることがあったかもしれなかった…。
ここまで身体を壊し、働けなくなったいま、少し後悔があるのです。

この記事を読んでくれているあなたは、何をしている時が、一番好きですか?

じぶんの「ふつう」を守り、他の人の「ふつう」も好きでいられるために
私には何ができるのか、今もずっと考えています。