特集:今日もあなたと、スキップで

アトピーで全身ボロボロ。こんな身体、誰も触ってくれるわけがないと思っていたけど

今日もあなたと、スキップで

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この20年あまり、誰かと付き合うとか無理、って頑なに思っていた。
私はアトピーで、ずっと全身の肌がボロボロ。
3年前にストレスで会社を辞めるまで、性器までかゆくて、死にそうだった。

こんな身体のやつと、誰も付き合おうとするわけがない。触ってくれるわけがない。私が男だったら絶対に触りたくない。性格もきもいし。
私は、おそらく、一生誰とも付き合えない。
ずっと、そう思っていた。

彼といると安心する。触れ合う時、私は信じられないくらい幸せだった

それでも、会社を辞めて専門学校に新たに入り、肌が少し治ってきた時、やっぱり死ぬ前には誰かと付き合ってみたい、と強く思った。
その思いで突き進んでいた時、友達の紹介で出会ったのが彼だった。

初めてのデートの時から、なんだか不思議だった。他人な気がしない。まだ会って2回目なのに、なんかしっくりくる。安心する。付き合い始めても、それは変わらなかった。
こんなに安心して体を預けられ、こんなに優しく、肌を撫でてもらえるだなんて。彼と触れ合う時、私は信じられないくらい幸せだった。

付き合ってから、より肌にツルツルな部分も増えても、やはりコンディションが悪くなる時があった。
いつかのセックスのあと、私はバイトや勉強の疲れなどで、調子が悪く荒れている肌を気にしていた。急に不安になって「こんな肌だけど、気にしていないよね?」と彼に思わず聞いてしまった。彼は、うーん、と言い、「でも、治した方がいいと思うよ」と返した。
一気に血の気が引く。あれっ、もしかして私は、今まで勘違いしていたのか?彼は私の肌を、ずっと我慢していたのか?本当はずっと気持ち悪いと思っていた??
そんなことばかりが頭を巡り、駅まで手を繋いで帰っている途中、ずっと挙動不審になっていた。

彼の指摘に、グッと胸が詰まった。私を優しく撫でてくれた

彼は帰ろうとしなかった。駅構内のベンチに一緒に座り、私のことを窺っている。私は思い切って、本当は私の肌が嫌なのに、我慢して一緒にいるのではないか、と彼にぽつぽつ話した。彼は、「それに関しては、全く気にしなくていい」と言い、自分も顔のニキビが酷い時があって色々試したことを教えてくれ、だんだんと私の肌がどうしたらよくなるか、という話し合いになっていった。

そして、私がバイトと勉強で疲れている現状を聞いて、「全員にとっていい人でいようとしてる」と指摘した。「それってすごいし、えらいけど、疲れちゃうよ。良く言えばいい人だけど、悪く言うと要領悪いよ」と。

グッと胸が詰まった。それは、私がずっと心の底で気づいていたことだ。変に完璧主義で、いい人でいようとする、私の浅ましいところ。そのくせボロが出て、自分を追い込んでしまう。要領が悪く、うまくいかないところ。
ダメすぎて、悔しくて涙が出る。彼は、「責めてないよー」と言いながら、私を優しく撫でていた。

彼となら。この心地よい安心感を、ずっと2人で積み重ねていける

それからまた駅を出て、手を繋いで散歩した。お互いの最近あったこと、失敗したことなどをとりとめもなく話しながら。私の数十年固かった心のどこかが、どんどん溶けていくような気がした。
彼は、私のダメなところも見抜いていて、私も、今こうして彼のダメなところを聞いたりしている。それでも、一緒にいてくれようとしているんだ。私も、一緒にいたいと思っているんだ。

別れる時、「面倒くさい女だけど、よろしく」とふざけて言ったら、彼は嬉しそうな顔をして「うん、そう言ってほしい。私なんて、って言うより」と返した。そう言う彼の顔がかわいくて、ありがたくって、甘えるようにハグをした。彼の体温を感じながら、私は泣きたいぐらいホッとしていた。

愛って、激しい気持ちとかでなくて、この心地よい安心感を、ずっと2人で積み重ねていくことなんじゃないかと思った。
彼となら、私は、きっと築いていける。

ねえ3年前の私、きこえますか?
私は今、ある男の子と、ものすごい愛を築いてる途中です。きっと今辛いだろうけど、大丈夫だから、挫けないでいてね。

ボロボロになっても、他人と愛し合うことを諦められずにいたよね。そのおかげで、私は今、ここに来られました。がんばってくれて、本当にありがとう。ありがとう。

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